〜Another Moon,Other Stars〜 無印編

□もう1つの銀水晶!2人のプリンセス
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 “プリンセス・・・私・・・”

“セレニティ・・・何も言わないで・・・”

また見たことのある宮殿の一角。

「プリンセス」と「セレニティ」の2人だけしかいない部屋。

「セレニティ」が後ろから「プリンセス」を抱きしめながら言う。

“いえ、プリンセス・・・私に何かあっても・・・貴女の銀水晶さえあれば・・・”

“セレニティ・・・ダメなの・・・私と、貴女の2つの銀水晶がなきゃ!”

“プリンセス・・・私はいつまでも待ちます・・・たとえ千年、二千年待とうとも・・・”

“分かり・・・ました・・・銀水晶の輝きがいつか私達を運命の糸で呼び合うときを待ちましょう”

話を終えると「プリンセス」は「セレニティ」の正面を向く。

それ以上は言葉に出さず、ただ抱き合い、温もりを分かち合う。



紗織がこれまで何度となく断片的に見た夢。

「夢ノート」にその断片を細かく書き続けたことによりだんだん紗織の見る夢の全容が明らかになってきた。

だが、あと1個、最後のピースだけが埋まらない。

いや、残ったピースは1個どころではなかった。

まず、シルフィから聞かされた話では銀水晶はこの世に1つしかないはず。

それが何故夢では「2つ」となっているのか?

次に「セレニティ」の顔の輪郭は思い浮かぶようになったものの「プリンセス」の顔がどうしても夢を見るたび思い出せないこと。

紗織に残された疑問はこの2点に絞られた。

この疑問については何度も何度も検証を重ねたが一向に結論が出る気配がないのでもう少し時間を見ることにした。

学校へ出かける前に紗織はママからのメールに対する返事を送る。

『Dear Mom.

この前花嫁教室に行ったんだけどね、ひどい目に遭った

教室に参加している間に集団で襲われちゃってね、もうてんやわんや、

みんな必死に逃げ回って良く分からないうちに事件が解決していたみたい、もう何がなんだか・・・

ガラス片は飛び散ってるわ、椅子や机は散乱しているわ、これじゃあ花嫁教室どころかお掃除教室に来ちゃったみたい

何も勉強にならないうちに終わっちゃった、もう最悪

From 紗織』

「これでよし、と」

メールを送るといつものように紗織は学校へと出かけていく。
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