〜Another Moon,Other Stars〜 無印編

□決戦!セレネスの孤独な戦い
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 “プリンセス・・・私の愛しいプリンセス・・・”

“その声は・・・プリンセス・セレニティですか?どこにいらっしゃるの?”

“プリンセス・セレナ・・・私はこれからダークキングダムとの決戦に赴きます。元凶であるクイーン・メタリアと戦うために・・・”

“待って下さい・・・私は、私もご一緒させていただきたいです、プリンセス”

“いえ、貴女にはやっていただきたいことがあるのです。私に何かあった場合に・・・私の後継人として、月の王国を統治して欲しいのです・・・私の分まで、王国の民を守って欲しいのです”

“ダメです、セレニティ!私と、私と一緒でなければ嫌です。だって私達は・・・私達は”

(セレニティは・・・自らの命を懸けてダークキングダムと刺し違えるおつもり?)


“銀水晶がある限りいつも一緒、でしょ?こうして貴女を見ているだけで私は満足です”

“セレニティ・・・”(そう、銀水晶がある限り輝きが導いてくれるのですよね?)

“そんな顔しないで、大丈夫。私は必ず勝ってみせます、勝って平和な未来を守り抜きます”

“セレニティ・・・私は信じています。戦いが終わったら必ず一緒に、もう離れたくなんかありません”

“約束するわ、プリンセス・セレナ”

“プリンセス・・・セレニティ・・・”

(ああ・・・セレニティ・・・どうか、ご無事で・・・いて下さい・・・神様)


もうこれ以上、言葉は要らなかった。

ただ、お互いを想い合い、愛し、全てを受け入れる。

例え辛い運命が待っていようとも、2人の絆はそれほどまでに深いのだ。

言葉を交わすのを止めて、代わりに身体を寄せ合い、口づけを交わす。

今までよりも深く、心を込めて・・・・・



口づけが終わったところで紗織は目が覚めた。

これまでよりも鮮明に、はっきりしたビジョンで見た夢、その夢が意味するものを紗織は考える。

十番中学校へ転校するまであと1ヶ月、そして今の中学校へ行くのも今日が最後。

プリンセスが誰か、結局最後まで分からないままだったが夢の中で何度となく出会っている。その温もりが覚めることは一度としてなかった。

求めれば求めるほど大きくなるプリンセスの存在。その疑問が解決するのも後1ヵ月後に迫っていた。
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