〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□ムーン復活!謎のエイリアン出現
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紗織が十番中学校に転校する数日前・・・十番街も1日の始まりを迎えていた。
「ひえぇぇぇぇ、遅刻だ、遅刻だぁぁぁぁっ!」
「こら、うさぎ!鞄忘れてるわよ!」
「あ、あ・・・びえぇぇぇぇん、痛いよぉぉぉぉっ!」
「あらあら、泣き虫うさぎちゃん!」
「どうして起こしてくれなかったのよ、ママのバカー!」
「ママはちゃんと起こしたわよ!起きなかったうさぎが悪いのよ?」
「でも・・・あ、こんなことしてる場合じゃない!行ってきま〜す!」
急げー、といいながら家を後にして学校へ走っていく少女が1人、そして家の屋根からそれを見つめる2匹の猫がいた。
少女の名前は月野うさぎ、14歳。
十番中学校へ通う中学2年生である。
「うさぎちゃん達がセーラー戦士の記憶をなくしてから、もう2ヶ月が経つんだよね〜」
「みんなすっかり普通の女の子になっちゃったな〜」
「本当!」
「あのさ、ルナ・・・ぼく達もそろそろ」
「何するの、やらしいわね!」
といいながら黒い方の猫が白い方の猫を爪で引っかく。
2匹の猫のうち、黒い方はルナ、白い方はアルテミスという名前である。
アルテミスはセーラーVことセーラーヴィーナスのお供で、もう一方のルナはセーラームーンのお供だった猫、である。
だった、というのには訳があって・・・先のダークキングダムとの決戦においてセーラームーンを含めたセーラー戦士5人は全員死亡してしまい、クイーン・セレニティの持つ銀水晶の力で転生することとなる。
それと同時に5人のセーラー戦士はそれぞれの記憶を封印され、みんな普通の少女へと戻ったのである。
「廊下に立ってなさい!」の怒号と共に水が入ったバケツを持って廊下に立たされていたのは月野うさぎ、かつてセーラームーンだった少女だ。
涙ぐむうさぎに「また、立たされてるの?」といいながら涙をハンカチでぬぐう少女の姿があった。
名前は水野亜美、うさぎ同様セーラー戦士だったIQ300の天才少女でセーラーマーキュリーとして戦っていた少女である。
「あの冷酷な先生に貴女の爪の垢を煎じて飲ませてあげたいわ」と愚痴をこぼすうさぎをなだめる亜美だったが先生がうさぎの愚痴を聞いていたらしく、うさぎに説教を始める先生。
ふとした拍子にうさぎが持っていたバケツの水がこぼれてしまい慌てるうさぎ、結果として水は先生の全身を濡らしてしまい学校中に響き渡るような怒号でうさぎをしかりつける先生の姿があった。
その日の夜、何の前触れもなく隕石が十番街に落下してきた。
おびただしい光が窓から部屋の中に差し込んできて目が覚めるうさぎとルナ。
もう朝?と寝言を言いながら外を見た瞬間、落下の衝撃で地面が揺れる。
「地震だ〜」と怯えながら布団に隠れるうさぎと外をじっと見たままのルナ。
落下した隕石は直後、浮上して近くのマンションの空き部屋の前にたたずみ、怪しい光を放つとどこへともなく消えてしまった。
新たな脅威はこうして幕を開けることとなったのだった。
「これは一体、どうしちゃったんだろう?」
「ねえ、あたしなんだか嫌な予感がするの」
ビルの屋上から落下現場を見つめるルナとアルテミスが話し合っていた。
その隕石が落下した現場には野次馬が集まりにぎやかとなっていた、うさぎが現場を眺めていると後方からうさぎを呼ぶ声がした。
「あれ、水野・・・さん?」そこには亜美の姿があった。
「へぇ、天才少女も野次馬しに来るんだ」というとうさぎと亜美が穴へ落下しそうになるが何とか制止する。
後ろから「ごめん、後ろから押されたんだ」と詫びを入れる少女の姿があった。
彼女は木野まこと、セーラージュピターだった少女である。
うさぎは「こないだ転校してきた怪力少女」というとまことは「怪力は余分よ」と抗議する。
両脇に亜美とまことがいる状況でふと、何かを思い出そうとするうさぎだったが足元のチラシが目に付いて考えていたことが吹き飛んでしまう。
『この惑星には極上のエナジーが溢れている・・・』
『辛い旅をしてきた甲斐がありましたわ・・・』
『何を考えていらして、アン?』
『もちろんエイル、貴女のことですわ。貴女は・・・?』
『貴女のことだけよ、アン?貴女の美しさを讃えるには言葉だけでは不足よ?英雄ペルセウスはアンドロメダに恋をし、彼女を守るため命を懸けて怪物たちと戦ったという、私も・・・ペルセウスのようになりたいわ』
言い終えると『エイル』と呼ばれた女性は手に携えた笛を吹き始める。
星空の下で笛の美しい音色が響き渡っていった・・・
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