〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□愛と正義ゆえ!セーラー戦士再び
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更にところ変わって十番街オデュッセイアの一室、部屋の奥には魔界樹が佇んでいた。
「われらが生命の源である魔界樹よ・・・蓄積したエナジーがいよいよ底を付いてしまうのか?」
「はぁ〜、余分なエナジーを使ってしまいましたわ。エイル、エナジーを下さいな」
「アン、魔界樹のエナジーは残り少ない!」
「! それは本当ですの!?」
「やはりこの惑星の女性共からエナジーを奪わなければ駄目だ」
「それも大量に、ですわね?」
改めてエナジーの収集を目的とする意思確認を取るエイルとアン。不敵な笑みを浮かべながらエイルは無地のカードをアンに差し出す。
「さあアン、貴女の作戦にもっとも相応しいカーディアンを予知してくれ」
はい、とつぶやくとアンはその中から1枚を選び出し虚空へと放り投げる。
無地のカードから新たなカーディアン、ミノタロンが現れる。
別の日、とあるテレビ局では番組製作スタッフが試写室を利用して番組編成会議を行っていた。
次のドラマで主役・白鳥の妹役に相応しい候補をリストアップしていく。
スクリーンに映し出される少女を何人か選んでいる最中でその候補の中に大阪なるとかつてセーラー戦士だった亜美、レイ、まこと、美奈子の4人も含まれていた。
揃いも揃った美少女揃いである、スタッフが地道に探し出したことを誇らしげに自慢して見せるのにプロデューサーも納得の表情を見せた。
「あと、それから・・・この子も入れてくれませんか?」
とスタッフの一人がデジカメを見せながら指差すのは紗織だった。
誰かに対する献身的な眼差しが印象に残ったのだとプロデューサーに提案する。
早速、紗織を含めた候補者達によるオーディションを行うことを決定しプロデューサーは案内状を手配するよう指示を出す。
その影でエイルとアンは候補者達を次のターゲットにするべく虎視眈々と狙っていた。
「かなりのエナジーが獲れそうね、アン」
会議が終わり、照明が明るくなるとスタッフの後ろに立っていたエイルとアンに気がつき即座に出て行くようスタッフが話しかける。
「あら・・・それは知りませんでしたわ。御免あそばせ」
アンが非礼を詫びると赤い瞳が光り出し、その場にいた全員が気を失って倒れる。
「この人達のエナジーを奪ってもいいけどせっかくの上等なエナジーを回収する前にこんな人達のエナジーをいただいても意味は無いわ」
「ええ、とりあえず利用するだけ利用しましょうか、エイル」
「おはよう、ミカ。ちょっと聞いて欲しいことがあるの!」
数日後、紗織とミカが駅へ向かう途中、紗織は届いた手紙を見せる。
「何々、紗織、教えて!」
すっかり興味をそそられるミカは手紙を見せてもらった。全部読み終えたあと、ミカの瞳の輝きが見違えるほど綺麗になる。
「ちょっと、紗織!貴女、TVに出られるかもしれないわよ!?ビッグチャンスよ!」
「ミカ、ちょっと聞きたいんだけどこの白鳥何とかって人、かなりの有名人なの?」
「そうか、紗織って芸能人の話全然駄目だったんだよね?この人、今一番人気の女優なのよ、その妹役って紗織には相応しいんじゃない?」
「そうかな〜。私、あまりそういうの分からないし・・・そりゃ、私が弦楽器弾けるのはミカも知ってるでしょ?どちらかというと音楽関係のほうがいいかな、って思うんだけど・・・」
「いやいや紗織さん、チャンスは掴むためにあるのよ。そして今がその時よ!今度のオーディション、私も観に行くからね!」
「もう、ミカったら勝手なんだから・・・」
半ば強引に言いくるめられてしまった格好の紗織だがせっかくのオーディションだから出るだけは出るか、と手紙を読み返しながら決心したのだった。
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