〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)

□新しき変身!うさぎパワーアップ
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 「さてと、」紗織は気分転換にパソコンの前に座り、ママへの定期メールを送る。

いつもならすんなり文章が打てるのだが今日はどうも精彩を欠いているらしく何度も打っては消してを繰り返して、何とか文章が出来上がり、送信ボタンを押す。

『Dear Mom.

この前、十番街に3Dシアターが出来たんだよ

3D映像は迫力があってすごく楽しめたけどうさぎちゃんと他の友達がケンカしちゃって・・・

滅多に怒らない私もどうしても我慢が出来なかった

できることならみんな全員仲良くして欲しいけど、これってわがままかな?

P.S

3Dシアターに現れた化け物と戦っているときにセーラームーンに異変が起こっちゃったの

具体的に言うと技が突然使えなくなっただけのようだけどちょっと心配

私もだけど一体どうなっちゃうんだろう?

From 紗織』

「ふう、これでよし、と」

「今日はいつになく時間を使ったね」シルフィがちょっと心配そうに尋ねてくる。

「うん・・・考えないように、とは思ってもやっぱり考えちゃうな・・・」

「セーラームーンのこと、そんなに心配なんだ」シルフィも一緒にムーンの身を案ずる。

「でもさ、紗織。今はとにかく出来る事をやる、月影の騎士さんも言ったでしょ?」

「そうね・・・今はとにかく出来る事をするしかないのよね」

紗織は心配そうな表情をやめて少し気持ちを落ち着かせることにした。

「さて、気分転換にギターの練習をしなくっちゃ」

「ギター?いきなりどうするの?演奏会でもあるの?」

「あのね、今度のお花見のときにみんなに聞かせる約束をしたんだ。ミカも久しぶりに私のギターを聞けるのを楽しみにしてるから、ちゃんと練習しないとね」

「紗織、ファイト!」

紗織が満面の笑みで答えるとシルフィも思わず笑顔になる。

紗織が部屋の隅に置かれたギターケースからギターを取り出して弾こうとしたとき「あ・・・」と声が聞こえた。

シルフィが紗織の様子を心配していたが紗織は振り向くと舌を出して苦笑いしながらこう答えた。

「弦が切れちゃった・・・張り替えなくっちゃ」

(紗織・・・やっぱり気になって仕方ないのね・・・)



「花見・・・?」

「そう・・・花見。この時期になると行われるこの星の住人達の宴。昼夜通して行われる宴に、人間達は大量のエナジーを使うと聞きましたわ」

「かつて我が一族が栄華を誇っていた頃は魔界樹にも華麗な花が咲いていたと聞くわ」

エイルとアンは魔界樹の部屋で地球の風習であるお花見について話をしていた。

2人の脳裏には美しく花を咲かせる魔界樹の姿が浮かんでいる。

しかし、今の魔界樹は一輪の花すら見かけられないほど哀れな姿だった。

「花見ね・・・人間達のエナジーが大量に手に入りそうね」

エイルとアンは花見を利用して大量のエナジーを獲得しようと計略をめぐらせることにした。
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