〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□うさぎのハチャメチャベビーシッター騒動
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「これでOK、事情はうちの店で聞くから病院での用事が終わったら電話してね」
「はい、高木さん・・・ありがとうございます」
4分後、高木からの連絡を受けた救急車が到着し、3人も一緒になって被害者が病院へ搬送される。その車中で愛美の母親の容態を案ずるうさぎと亜美・・・
紗織もまた視線を離さずに、感情が高ぶったまま無言で見つめる。
一方、大量のエナジーを獲得した魔界樹は怪しい光と共に再び活力を取り戻す。
「ウフフ、作戦は成功のようね、アン」
「ウフフ、生まれたばかりの新鮮なエナジーをもっと奪いましょう、エイル」
「・・・でも油断しないでアン、いつセーラー戦士が現れるか分からないから、作戦は慎重に進めていきましょう」
エイルとアンはセーラー戦士の動きに警戒しながら作戦を進めるよう、いつになく慎重に動く気配を見せていた。
「お医者さんは何だって言ってた?」
「赤ちゃん達は1週間ほどで退院できるらしいわ」
うさぎと亜美が病室の外で被害者の状況を話し合っていた。
「・・・愛美ちゃんは!?」
「別になんともないそうよ・・・お母さんが庇ったからなのよね」
改めて愛美だけは被害を免れていたことを再確認する。
しかし、愛美を庇った母親は安静が必要なのは変わりなかった。
「愛美ちゃんのお母さんは3日ほどで退院することになったんだけどその間の3日間、保護者が不在になるの・・・親戚や身寄りも近所にいないからその間のお世話をどうするか」
ここへ来て深刻な事態が発生した。愛美の母親が3日間入院する間、お世話する人がいなくなってしまうのだ。3日もの間、誰が面倒を見るのか?
うさぎと亜美は重大な問題の解決に迫られていた。
「ところで、紗織ちゃんは?」
「紗織ちゃんなら、今ミカちゃんに連絡を入れているみたい。その後で高木さんに約束どおり連絡してバロンドールで今日起きたことを話すみたいよ」
病院の外では紗織がミカに連絡を入れて一連の事件のことを話していた。
『この前は幼稚園児で、今度は赤ちゃん・・・?どんどん狙ってくる年齢が下がってることない、紗織?』
「そうなのよね・・・何も出来ない赤ちゃんを狙うなんて・・・!」
『あとさ紗織・・・さっきから怒ってない?口調がいつもよりとんがってるけど?』
無意識のうちに話し口調が鋭くなっていることをミカに指摘されて冷静さを取り戻す。
「・・・とりあえず今から高木さんのところでどうするか、話し合うことになったから、また決まったことがあったら夜、連絡するね」
『OK、あまり深刻にならないでよ紗織』
ミカが紗織を気遣う。
「ありがとう・・・」
そういい終えると紗織は備え付けの公衆電話を切る。
話が終わったところでうさぎと亜美が病室から出てきた。
「うさぎちゃん、亜美ちゃん・・・どうだった?」
紗織は亜美から一連の事情を聞き、今重要な懸案事項が3日間の愛美のお世話をどうするべきか、であった。少しの間を置いて紗織がある決心をする。
「・・・私が、お世話するわ」
「え・・・?紗織ちゃんが!?」
「私がお世話するわ。大変なのは分かっているけど、今は考えるより何かすることが大事だから」
紗織の目の色は誰から見ても我が子を思う母親そのものだった。
一度何かを決めたら絶対曲げないことを知っているうさぎと亜美は紗織の申し出を受け入れることにした。
「分かったわ、その件も含めて高木さんに相談しましょう」
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