〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□文化祭は私のため!?レイ女王熱唱
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「もう少し左よ左、そうそう、でもう少し高さを上げて!」
レイが体育館で何か指示を飛ばす。
OKのサインを出すと脇のほうから生徒が2人、レイに話しかけてくる。
「あの・・・レイ様、クラス参加なんて私達のクラスくらいしか・・・」
「だから、昨日も説明したでしょ!?一体何回同じことを言わせるの?こっちは舞台の準備でてんてこ舞いなのよ」
踵を返してレイが歩き出すと生徒のもう1人が改めてレイに話しかける。
「でも、レイ様がいないと段取りが何も分からなくて・・・」
「分かったわ、後で行くわ」
段取りの悪さに少々呆れながらもレイが生徒の申し出を後回しにして改めて舞台の準備に入ろうとするが中央に置き去りにされた機材が目に付くとすぐ片付けるよう指示を飛ばす。
そんなレイの姿を見てうっとりするもう2人の生徒の目にはレイが美しく見えていた。
「レイ様がいらっしゃれば今年の文化祭は大成功間違いなしだわ」
準備に終われるレイの姿を見て顔を赤くしているとそれを見逃さなかったレイは2人に対してもすぐ動くよう指示を飛ばすとうっとりしながらもすぐに行動に移す。
レイに話しかけられたのがよほど嬉しかったのか先ほどから笑顔が止まらない。
「はぁ〜、猫の手も借りたいわ・・・」
なかなか捗らず1人、肩を落とすレイだった。
「レイちゃん、忙しそうだね」
「あ〜、うさぎ。それから紗織ちゃんも?」
「ここがレイちゃんの中学校・・・レイちゃんって人気者なんだね」
「レイちゃん、ルナとアルテミスも連れてきたよ。猫の手も借りたいって言ったでしょ?」
「あんた達、そんなことを言うためにわざわざ来たの?」
「違うわ、陣中見舞いよ。まことちゃんからの差し入れもあるわ」
うさぎはルナとアルテミスを放り出すと紗織がとっさに拾い上げる。
亜美はまことから預かったお弁当をレイに差し出す。
「レイちゃん、見ていっていい?」
うさぎがレイに見学の許可を尋ねる。
「どうぞ、今からリハーサルがあるから」
「何か手伝えることがあったら私達に言ってね」
紗織もお手伝いを申し出る。
レイがマイクを片手に歌の練習に入るが照明の色が指示したものと違うことに気がつくと歌うのをやめてすぐに間違えた側の照明が仮に厳しく当たる。
「?」要領を得ない照明の動きに痺れを切らしたレイは休憩を告げると裏口へ戻る。
「みんなおっとりしてるから疲れるわ」
レイはため息混じりに愚痴を言う。
「今のって聞いたことないけど誰かの持ち歌?」
紗織がレイに質問する。
「私も気になる気になる、ねえねえ教えてレイちゃん!」
うさぎも一緒になって質問する。
「いい耳してるわね、紗織ちゃん、うさぎ!このリサイタルの曲は全部私が作詞・作曲したの!」
というとレイが自慢げに楽譜を見せるとうさぎと亜美は凍りつく。
「何よ、私が作詞・作曲したら何が悪い!?」
2人の態度に不満たらたらのレイに対して紗織は1人興味深々だ。
「すごいね・・・まるでレイちゃん、自分の手で盛り上げようって躍起になってるのね」
「この文化祭、レイちゃんのリサイタルを盛り上げるためにあるみたい」
紗織と亜美の発言を聞いたレイは胸を張って話を続ける。
「当然、何のために実行委員長から現場監督までやってると思うの?」
「やっぱりレイちゃんだ〜」とうさぎが笑い出すと紗織は不思議そうな顔をする。
亜美がこっそり紗織に事情を説明すると紗織も納得した表情を見せる。
「レイちゃん、良かったら私がリードギターのお手伝いをしてもいい?本番までにちゃんと練習するから」
「いいの紗織ちゃん、ありがとう。後で楽譜のコピー私からお願い!」
レイの姿を見た紗織は自ら演奏の協力を志願したのだった。
そんな4人で盛り上がる様子を遠くから眺める影・・・銀河姉妹だった。
「へえ・・・文化祭ね」
「当日は若いエナジーがここに満ち溢れるわけですわね」
「この機会を見逃さない手はないわね」
「当然、魔界樹もさぞ喜ぶことでしょう」
銀河姉妹は例の文化祭を利用してエナジー獲得を目論んだのである。
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