〜Another Moon,Other Stars〜 R(魔界樹〜ブラック・ムーン編)
□月影は星華?燃えるまこちゃん
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月影の騎士のことを考えているのは紗織だけではなかった。
亜美もまこともある時、ふと月影の騎士のことを考えてその話題で持ちきりだった。
「月影の騎士様・・・」
「私達のピンチになると現れて助けてくれる正体不明の人か・・・」
「去り際にアデュー、ってポーズ・・・先輩にそっくりだわ・・・」
まことは頬を赤くして砂漠をらくだに跨って優雅に進む姿を想像する。
「え!?まこちゃんの先輩ってアデューってセリフが口癖なの?」
まことの一言に興味を示す亜美はそのことをまことに問いただす。しかし、まことは雰囲気が似ていると即座に否定する。
「そういえば・・・最近好きな人に対してお弁当を作ってあげるのがカップルの間で流行っているみたいなの」
話を一通り聞いたあと、亜美が突然別の話をまことに対して振る。これは亜美が最近ネットで知った口コミらしく評判は上々であるとのこと。
「ふ〜ん、もう随分と作ってないな〜。誰かのために・・・お弁当なんて」
まことの話を聞いて亜美は篠崎とはあれからどうなっているのか、尋ねようと思ったがまことの悲しそうな表情を見て尋ねるのをやめた。
2人が公園で話しているうちに公園内に時間を告げる鐘が響き渡る。鐘の音を聞いて亜美が今日の目的であったことを口にする。
「あ〜あ、とうとううさぎちゃん時間までに来なかったわ。月影の騎士のことについて話し合おうって言ってたのに・・・」
「本当にあの子が早起きしてくるって思ってた?」
座っていたまことが立ち上がりうさぎを心配する亜美に一言声をかける。亜美は苦笑いしながらもうさぎが遅刻することを想定していたため特に気にせずにその場はお開きとなった。
その頃、うさぎは案の定遅刻してしまい猛ダッシュで家を飛び出して学校へ向かう。
その後ろではルナがお弁当箱を口にくわえながらうさぎを必死に追いかけるが途中でつまづき、お弁当箱が宙に舞う。
必死の形相でお弁当箱を落とすまいと落下地点へ駆け込みお腹で受け止めようとするもののルナの身体にお弁当箱の重みが圧し掛かり悶絶する。
「月野さん!遅刻した上に宿題も忘れておまけに居眠りですか!?」
「は、反省しています・・・」
力のないうさぎの返事を聞いた桜田は半信半疑ながらもうさぎの謝罪を受け入れ解放する。
「・・・とは言ってもお弁当忘れたしな〜・・・」
とぼとぼと歩き出したうさぎはお弁当を忘れたことを思い出し更に脱力感に包まれたまま廊下を歩いていく。
「どうせ遅刻するんだったら朝ごはん、ちゃんと食べて来ればよかったよ〜」
「うさぎちゃん・・・お弁当忘れちゃったの?良ければ、私の分を好きなだけあげるから泣かないで」
目に涙を浮かべながら途方にくれるうさぎを見るに見かねた紗織がうさぎに話しかける。
「本当!?紗織ちゃん!?いいの!?ありがとう〜!」
「半分あれば何とかなるから、私のことは心配しなくていいわ」
絶望的な状況で差し伸べられた紗織からの救いの手を拒否するはずもなくうさぎはお弁当にありつく。
目の前で恥じらいもなく豪快に食べていくうさぎを見て紗織は思わず笑みがこぼれる。
そんな紗織とうさぎの様子を見ていた桜田は2人をうらやましく見ているだけだった。
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