〜Another Moon,Other Stars〜 無印編
□目覚めた運命!セーラー・セレネス誕生の日
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「それじゃあ、またね!」
「じゃあまた明日〜♪」
電車を降りた紗織とミカはそのままホームで別れて、それぞれの家路へと足を進めた。紗織は右腕に付けた腕時計を見ながら歩を進める。
ミカのほうが駅から近いところに住んでいるのでもうそろそろ家に着いた頃だろう、と思っていた。
今朝見た夢のことなどすっかり忘れて家に帰ったら何を食べようか、そんなことを考えながら家路へと向かう途中・・・1匹の猫が紗織の前に現れた。
「やっと見つけた、久保 紗織さんね?」
「? 今、誰か私のことを呼びましたか?」
紗織は足を止めたが声の主がその猫とは全く気付かなかった。
「久保 紗織さん、私の声が聞こえる?」
「はい、何でしょう・・・って、え!?猫がしゃべった!?」
「良かった・・・紗織さん、捜したよ〜!」
何か一仕事を終えたように猫はため息をつく。
紗織はかばんをいったん地面に置き、猫をじっと見つめる。
やっと気付いてもらえた、と言わんばかりに猫は紗織の方を向き直して改めて話を進める。
「初めまして、久保 紗織さん。私の名前はシルフィ。貴女に大切なことを伝えなきゃいけないの」
「大切なこと・・・でも、周りに誰かいるかもしれないから家についてからで、いい?」
「OK、貴女の家がどこにあるか分からなかったから案内してくれる?」
紗織は右腕でシルフィを抱きかかえたまま、かばんを持ち直すと改めて家へと歩き始めた。
帰宅して軽く食事を取った後、紗織はシルフィをテーブルの上に置いた。
「ねえ、さっきの話の続きの前に、君の事、シルフィって呼んでいい?私のことも紗織でいいから」
紗織はシルフィに対して名前で呼んで大丈夫か、確認を取る。
シルフィは二つ返事でOKし、紗織の方を向いて家に着く前の話の続きを始めた。
「実はね、紗織。貴女はとても大切な使命を持った人なの」
「私が?私の使命・・・?」
シルフィの話をよく確認しながら聞く紗織に対してシルフィはさらにこう続けた。
「貴女は実はセーラー戦士の生まれ変わり。セーラー・セレネスなの」
いきなり言われた衝撃の事実。と言ったほうがいいのだろうか?
紗織はシルフィの言ったことが信じられないでいる。
「私がセーラー戦士って、証拠は?証拠はあるの!?シルフィ」
「貴女が生まれた頃から見続けている夢があるでしょう?あれは貴女に対してクイーン・セレニティがずっと呼びかけ続けていたのよ。貴女が、紗織がセーラー戦士に目覚める日のために。貴女が果たすべき使命のために」
「今までずっと見続けていた夢に・・・そんな意味があったなんて知らなかった。でも、もう一度聞くけど私がセーラー戦士だとして、私がやらなきゃいけない使命って何なの?」
使命、と言う単語を復唱してシルフィに聞き返す紗織。
「それは、遥か昔にとても美しい月の王国が栄えていたの。でも、ある日突然襲ってきたダークキングダムのせいで月の王国は崩壊。
その月の王国を治めていたのがプリンセス・セレニティ。そして、そのプリンセス・セレニティが持っている幻の銀水晶という宝石。
貴女にはそのプリンセスと幻の銀水晶を探して欲しいの」
「それが・・・私の使命?何か、スケールがすごい話だね?私に・・・出来るかな?」
「心配しないで、紗織!これは貴女の変身ブローチよ。いざと言うときに必要になるから」
そう言い終えてシルフィは首にぶら下げていた大きな首飾りを紗織に差し出す。
「このブローチが・・・このブローチがあれば君が言った、そのセーラー・セレネスに変身出来るの!?」
「その通り、ダークキングダムを倒してプリンセスと幻の銀水晶を一緒に探して欲しいの・・・紗織、手伝ってくれる?」
「うん、まだ良く分からないけど・・・シルフィが困っているならやってみる!まだ、実感ないけど、ね」
疑心暗鬼だった紗織の表情が決意に満ちた表情に変わる。
シルフィも紗織の決心を感じ取り安心する。
いきなりの宣告に右も左も分からない紗織だったが大きな決意を胸に秘めた瞬間だった。
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