〜Another Moon,Other Stars〜 無印編
□現れた銀水晶!新たなる力
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「これでよし、と」
「おはよう紗織、いい夢見れた?」
「う〜ん、何とかね。今まで分からなかったことが分かるとこんなに気持ちいいものなんだな〜、って思うとね」
「紗織がプリンセス・セレナだと知ったときは正直私も驚いたよ。でも、現実にあれだけのことを目の当たりにするともう否定はしない。紗織も自分のやるべきことがあと少しだから頑張ろうか」
「ねえシルフィ、もし私の使命が終わったら君はどうするの?君は月の王国へ帰っちゃうの?」
「どうなんだろう・・・紗織の使命は私の使命だから・・・紗織が今のままがいいって言うなら私も一緒がいいけど、大丈夫?」
「もちろん、歓迎するわ。私と君はずっと一緒だから」
紗織はシルフィを見つめながら今後のことについて確認していた。
この手の使命は全て果たし終えたら大抵の場合、一緒にいた仲間は離れ離れになってしまうのが世の常だ。
しかし、紗織はシルフィといた半年間が今まで生きた13年より遥かに貴重で大きな時間であることを自覚し始めていた。
出来ることなら使命を果たしたあともシルフィと一緒にいたい、今のままでいたい。そう願う紗織だったが本当にそう上手く行くのか、自信がないのも事実だった。
「おはよう紗織、あんまり遅いからこっちから迎えに来てやったぞ!」
「いけない、ミカを待たせちゃってた!ごめんミカ、今行くよ〜」
「行ってらっしゃい、紗織」
ミカの呼び出しを受けて紗織が慌てて家を出る。
こうして紗織の1日がまた始まる。
通学の電車内での会話。
「ねえねえ紗織、私前々から思ったんだけど・・・」
「ミカ?急に何、畏まっちゃって?」
「私ね、その・・・セーラーセレネス様と遠い昔に恋人同士だったんじゃないか、って思うことが最近あるの。
ほら、事あるごとにセレネス様に助けていただいてそのたびに私を見る視線に感じるものがあって・・・
きっとセレネス様も口には出せないけど私に対して何らかの感情を、声に出していえない思いがあるんじゃないか、って・・・
せめて、ゆっくりお話できる時間さえあればいいんだけどな〜」
「う〜ん、セレネスさんも悪い妖魔って奴と戦っているんでしょ?戦いが終わらない限りは無理なんじゃないかな〜?」
「そうね・・・戦いが終わったらしっかりお話がしたいわ。でも、全てが終わったらどこかへ行ってしまうんじゃないか、って・・・そう思うと切なくて、切なくて」
「ミカ・・・」紗織はミカの一言一言をしっかり心に受け止める。
全てが終われば紗織はセーラー戦士でなくなることも考えられる。
そうなればミカもいずれ大人になりセーラー戦士のことを忘れるのではないか、ほんの僅かの間であったとしてもミカにとって忘れられない貴重な時間、それは決して色あせるものではないと信じたい紗織であった。
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