短編

□守れない約束
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「ん…。」

差し込む朝日に小さく身じろぐ。

「いぬやしゃ…?」

彼女が目を覚ます。
しばらくまどろんでいたのだが、自分の今の姿に気付くとかぁっと赤面した。
そんな姿さえ、たまらなく愛しい。

「かごめ…。」

生まれたままの姿の彼女を抱きしめ口付ける。

「んっ…。」

唇を離すとそのまま彼女の首に顔を埋(うず)めた。

「犬夜叉?」

彼女は不思議そうに俺の名を呼ぶ。
俺は腕の力を強めた。

「なぁ…かごめ。」
「なぁに?」

顔を上げ、名を呼ぶと無垢な瞳で見つめ返される。

「ずっと…一緒にいよう。」
「……ずっと…?」

聞き返してくる彼女の唇をもう一度塞ぐ。

「ああ…、ずっと一緒だ。」
「……うん。」


そう言って俺達は抱き合う


お互いに気付いている

井戸を通るときの違和感

確実に減っていく
一緒に過ごせる残りの時間


それでも…


“永久に一緒に―――…”



それは




届かぬ想い

叶わぬ願い

果たせぬ約束









――――――――
痛ーっ
まあ、設定としてはもうすぐ骨食いの井戸が使えなくなるって兆しが見えてて、二人ともお互いに気付いてるのですが、「ずっと一緒」だという約束をするって感じです。
精一杯の強がりってか悪あがきっていうか『運命(さだめ)に対するふたりの抵抗』ですね。
痛くてすみません
なんか急に思いついたんです

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