短編
□夢迷い人
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よく見る割には今まで内容をよく覚えてなかった。
ただ、誰かが大きな木の影で泣いている事しか覚えてなくて。
泣いているのは見知らぬ女。
内容をよく覚えてないものの、ガキの頃から見てるってのは分かるから不思議なモンだ。
「げ、遅刻じゃねぇか!」
ベッドから起き上がり、しばらく窓を見ながら想いふけっていた俺は、寝坊してることにやっと気付いた。
慌てて準備して高校に向かう。
高校って奴は義務教育じゃねぇからサボり過ぎると卒業どころか進級さえ出来なくなっちまう。
ったく、面倒臭い所だ。
――ああ、それもこれもあの夢のせいだ!!
罪を夢に押し付けながら俺は高校へと全速力で走った。
高校に着いてからの俺はつまらない授業中、窓から外を見てぼーっとしていた。
考えるのはあの夢の事。
夢で泣いている女、顔はよくわからねぇ。
確信はねぇけど、何となく、成長している気がする。
ガキの頃見てた女は、小さな女の子だったような・・・
俺と同い年くらいで・・・
もしかして、俺と一緒に成長してんのか――?
ますます意味わかんねぇ。
第一、その女は知らない奴なんだ。