短編
□夢迷い人
3ページ/12ページ
・・・だけど酷く違和感がある。
『お前は笑顔の方が似合う』
笑って欲しいと、切に願う。
その女の笑顔は春のひだまりの様に温かいから、と、まるでずっと昔からその女の事知っているかのように――・・・。
『――。』
誰かに呼ばれたような気がした。
気付くと俺は夢の女の前にいる。
――ああ、また夢か。
ったく、ホントにお前、一体誰だよ?
繰り返し見る夢では、女はただただ泣いている。
『ぃ・・ゃ・・・』
――ん?
こいつ、何か言ってる!?
こんなの初めてだ。
『・・・ゃしゃ』
――?
なんだ?犬なんとかって・・・。
だけど、その声は酷く哀しそうで・・・
俺は胸を締め付けられる。