長編

□影 ―かげ―
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深い深い森の中、かごめは一人、泣いていた・・・。
先ほど見てしまったのだ、犬夜叉と桔梗が抱き合っている所を・・・
分かっていた。犬夜叉が桔梗を忘れられないことなど。それでも犬夜叉の傍にいると決めたのは自分だ。
しかし、頬を伝う涙が止まらなかった−・・・


【影 −かげ−】


一方、犬夜叉はかごめの後を追っていた。

(俺は桔梗を選んだはずなのに、何故かごめを探してる?かごめに会ってどうするつもりだ?)

頭ではそんなことを考えていたが、体は勝手に動いていた。
と、犬夜叉の鋭い鼻はかごめの匂いと共に奈落の匂いを感じ取った。

(くそっ!!)

犬夜叉はスピードをあげ、かごめと奈落のいる森の奥へと走って行った。


「きゃああぁぁ!!」

かごめの悲鳴・・・

「かごめ!」

「い・・・ぬ・やしゃ?」

犬夜叉がたどり着いたとき、かごめは奈落の触手に捕らえられていた。

「かごめ・・・。」

犬夜叉はかごめが一応無事だったという事に一瞬安堵の表情を浮かべたが、すぐに鉄砕牙を構えた。

「奈落!てめぇ、かごめを離しやがれ!!」

「ふっ、そう簡単に渡すものか。」

「風の傷!!」

「ムダだ・・・。」

奈落は結界をはり、そのままかごめを連れ去ろうとした。と、その時。

「犬夜叉!!」

かごめが犬夜叉に向かって何かを投げた。

パシッ

「!!?」

・・・それは、四魂のカケラの入った小瓶だった・・・。

「四魂のカケラ・・・頼んだわ。」

「かご・・・」

犬夜叉が名を呼ぶ前に、かごめは奈落と共に消えていた。
犬夜叉は小瓶を握り締めた。

―――なんで俺はいつも守ると誓ったはずのかごめを守れねぇんだ・・・!なんで・・・なんで!!

「っかごめぇー!!!」

・・・森に犬夜叉の声が響き渡った―――・・・
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