長編
□影 ―かげ―
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「んっ・・・」
かごめは目を覚ました。
「・・ここ・・・どこ?」
真っ暗な世界・・・
「そっか・・・私、奈落に捕まって・・・。」
自分の状況を思い出したかごめは闇に向かって叫んだ。
「奈落!!いるんでしょ!?言っとくけど私を捕まえたってムダよ!四魂のカケラは犬夜叉に渡したし、犬夜叉は桔梗を選んだの!!だから私がいたって何の得にもならな・・・」
「うるさいわねぇ・・・」
声と同時にかごめは水晶のようなものに包まれた。
「!!?」
「ちょっとそこでおとなしくしててよ。」
さっきと同じ声と共に、かごめにそっくりな女の子が現れた。
「!?」
「ふふっ♪自分そっくりの子が現れてびっくりしてる?あたしはあんたの影よ。」
「かげ・・・?」
喋り方は似てはいないが、姿形はそっくりだ。
・・・と、そこへ奈落が現れた。
「行け、光華(こうか)よ。犬夜叉を殺してこい・・・」
「はぁい♪奈落様、行ってきまーす!」
どうやらかごめの影と名乗る少女は光華と言うらしい。光華は手を振りながら闇へと消えていった・・・。
「ふっ、かごめ、お前にも見せてやろう。」
「???」
奈落が闇に手をかざすと、周りが急に明るくなり、森が映し出された。
映し出された森の木の上に犬夜叉がいた。どうやら、何かを考えているようだった。
そこへ、向こうから傷だらけの光華がやってきた。
「い・・ぬや・・・しゃ・・」
「かごめ!?」
犬夜叉はすぐに気付き、光華の元へと駆け寄った。
「かごめ!お前・・・」
「やっ・・と・・・逃げて来れた・・・」
力無く笑い、そう言うと、光華は犬夜叉の胸へと倒れ込んだ。
「かごめ・・・すまねぇ・・・。」
何も知らない犬夜叉は光華を抱きしめた。
それを見ていたかごめは、必死で水晶を叩きながら叫んだ。
「違う!!犬夜叉!それは私じゃないっニセモノよ!ねぇ気付いて!!」
「無駄だ。犬夜叉からは、わしとお前は見えん。」
「っ・・・!!」
犬夜叉に抱きしめられた光華もまた、犬夜叉の背に手をのばす・・・。
「かごめ・・・。俺・・やっと気付いた。俺は・・・」
犬夜叉がそう言っている間に光華は静かに短刀を取り出した。
犬夜叉は気付かない。
「犬夜叉ーーー逃げてぇーーー!!!」