追う兎と追われる兎

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『…………団長』



目の前にはいつもと変わらず
貼り付けた笑顔の団長がいる




「慧磨…迎えに来たよ」

腕を上にひいて立たせてくれた




『だんちょ…』

「…そうは…させないッス…」



団長の元に行こうとしたらまた子さんに足を掴まれた




『…っ……離してください…』


「嫌ッス…!」

また子さんはそう言ってさらに足を掴む力をこめた




「…なにこいつ」

団長がまた子さんの手を踏み付ける


『団長!やめてください!』



メキメキ…



「ぐぅぅっ………」

『また子さん!?……団長!!!』




団長は私の言葉を無視して踏み続ける









「やめねぇか、来島」




ふいに聞こえた少し低い声





「………晋助…様……」






『!』


向こうに見えたのは高杉だった




「やぁ旦那」


挨拶しながらもまだ足をどけようととしない




それを見て眉をひそめる高杉



「おめぇ…足どけろ」


「なんで?」




「てめぇ…!」

高杉は腰にさした刀を抜こうする





奪還作戦




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