私と姉様と猫達の七日間
□月曜日
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とある夏の日 明朝 新選組屯所
誰もがまだ寝静まっているこの場所で、
密かに、ある小さな変化が起きようとしていた。
それに誰かが気付くのは、
今から数刻後――太陽が顔を出し、空が明るくなり始める頃――
――――――
――――
――
≪side沖田≫
……ん、もう朝か…
ふぁ〜あ、昨日は皆と飲み過ぎちゃったな。
外から鳥の泣く声が聞こえてきて、僕は重い目蓋をゆっくりと開けた。
今僕は、頭の先まで布団に潜り込んでいるらしく、目を開けても真っ暗だった。
今日は確か昼間に僕の組が巡察だったかな。
天気が良かったら、咲華ちゃんと遊びに行きたいのに……
――あれ?
僕はぼんやりとそこまで考えて、ある事に気付いた。
僕の布団、……ここまで重かったっけ?
いつも被っている布団が、いつもより少し……いや、かなり重く感じられた。
しかも、僕が頭の先まで布団を被ると、いつも爪先がどうしても端から出てしまうのだけれど……
全然出てない……
どうなってるんだろ?
僕は目を擦って眠気を飛ばそうと思った。
だけど――
……は?
これ……、僕の、手?
真っ暗の中で見えたのは、自分の手のはずなのに、
それに指が無く、変わりに肉球があった。
しかもこのふさふさした毛は、まるで――猫の手のようでもあった。
僕は慌てて、重い布団からもぞもぞと這い出た。
自分の部屋はいつも通りで、屏風の向こうからは暖かい日光が入ってくる。
だけど、自分の姿をよく見ると……
畳についた二本の手、二本の足、後ろで垂れている長い……尻尾?
手で顔に触れようとすると、そこにはぴんっと立った三角形の耳が立っていて――
「……みにゅ?」
僕の口からは、いつもの声ではなく、鳴き声に近いものが出た。
どうやら僕は――猫になってしまったようだ……
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