私と姉様と猫達の七日間

□水曜日
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新選組の六人が猫の姿になってしまって翌日の朝――



「『――ごちそう様でしたっ』」

「「「「「「にゃっ」」」」」」


いつもは十人以上いる広間での朝餉も、今日は人数が少なかった。

その代わりだというように部屋の端っこでそれぞれご飯を食べているのは、
あの六匹の猫達だった。


『…静かだねー』

「ほんと。いつもは平助君と新八さんがおかずの取り合いしてるものね」

『あとは斎藤さんの味付け指摘とかね』


食器を片付けながら、今日には見られなかったいつもの事を話し合う咲華と美咲。

お皿などを水で洗う二人を後ろからじっと見つめているのは、さっきの六匹の猫達。

彼らにはその背中が、どこか楽しそうにも――
どこか寂しそうにも見えた。


もちろん、姿が変わって一番驚いたのは自分たち自身なのだが、
この事件で一番悲しんでいるのは、二人でもあった。

いつも一緒に生活している六人が一夜にして突然姿を消し、音沙汰も無くもう一日が経ってしまっている。

そりゃ悲しくも寂しくもなるだろう。



「……にゃ
(……おい、なんか二人とも変じゃねぇか?)」

「にー
(お前はいつも鈍いよな。新八)」

「み〜?
(え? 俺にもわかんねーよ左之さん)」

「…に
(お前もかよ平助)」

「みゃー、みゃー
(つまり、僕達がいなくなったから咲華ちゃんと美咲ちゃんが寂しがってるってこと)」

「…にー……
(美咲……)」

「にゃっ
(あ〜なるほどね。言われてみればそうかも)」

「…にゃー
(で、どうするんだ? あいつ等を元気付けさせる方法でもあんのか?)」

「「「「「………」」」」」


土方の一言以降、猫同士の会話は続かず、
結局彼らは、二人が朝の家事を終えるまで待っていることにした。





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