私と姉様と猫達の七日間

□木曜日
1ページ/8ページ

六人が猫になってしまって早三日目



今日は屯所は少し、様子が違った。


それは、その日の朝から始まった。


「けほ…、けほ……」

「に〜?
(美咲…大丈夫か?)」

『姉様……ヘイちゃん達にまで心配されちゃってるよ?』

「うぅ…っ、立つ瀬がありません…」


二人の部屋で正座する咲華と、その隣に座る六匹の猫達。

彼らの前の布団には、美咲が寝込んでいた。

どうやら彼女は持病の所為で熱を出してしまったようで、顔も赤くなっていた。


『最近色々忙しかったもんね。それに昨日の猛練習が響いちゃったから』

「……私こんなに弱かった?」

『少なくとも私よりは弱いと思う』

「失礼ねー」


拗ねたようにむすーっと頬を膨らませる美咲

それに咲華が吹き出して、つられて二人とも笑った。


『でもとにかく、しばらくは休んでた方がいいから、しっかり寝ててね』

「でも……仕事はどうするの?」

『大丈夫っ。私が何とかするから! 千鶴ちゃんもいるんだし、全く問題ないよ』

「…………ほんとに大丈夫?」

『だーいじょーぶだって! 心配しないで』

「……なら、お言葉に甘えて…」


ようやく素直に答えた美咲に咲華はうん、と笑って答えて立ち上がり、部屋を出て行った。

残された猫達も彼女について出て行こうとしたが、


「…ちょっと待って」


それを美咲は後ろから止めた。

六匹が振り向くと、上半身だけ起きた美咲は少し真剣そうな表情で言う。


「お願いっていうのもなんだけど、あなた達で咲華の事、よく見ていてくれないかな? あの子、最近顔色が悪い気がするの。思い違いだといいんだけど……
私が言ってもどうせ聞かないから、本当に大変な事が無いよう、皆にお願いするね」

「「「「「「……にゃっ」」」」」」


あまり人に頼る所を見せない美咲がこうしてお願いするほど彼女の事を心配していると察した彼らは、しっかりとした声で答えた。

それに安堵したのか、美咲は表情を柔らかくして目を閉じた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ