私と姉様と猫達の七日間

□月曜日
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そしてしばらくして――



「……にゅ
(――で、何故俺達はこんな姿になってしまったんだ?)」


土方の部屋には今、全部で六匹の猫がいる。

その内の、全身漆黒の毛並みに紫の細い双眸をした猫が一声鳴いた。

彼こそが、実はこの部屋の主にして鬼の副長――土方だったりする。


「みゅ〜
(そんな事言われても、僕にだってわかりませんよ。ねぇー、一君)」

「………」


彼に答えるように、明るい栗色と白の毛並みで翡翠の瞳の猫が呟き、
隣にいる紫黒と白の毛並みに蒼い瞳の猫に話を振ったが、彼は答えなかった。

茶色の猫は沖田、紫黒の猫は斎藤だったりするのだ。


「みー、みー
(つーか絶対総司以外考えられなくねーんだけど)」

「にゃー
(確かにな)」

「にー
(意外に平助だったりしてな)」

「みっ!
(な、酷いよ左之さん〜)」


残りの三匹が、口喧嘩するように鳴いた。

六匹の中で一番小さく、明るい鳶色の毛並みに新緑の瞳の猫が藤堂、
一番元気がよく、焦茶と白の毛並みに群青の双眸の猫が永倉、
一番背が高く、赤銅の毛並みに明るい梔子の双眸の猫が原田だった。


彼ら六匹(人)は、昨夜までいつも通りの人間の姿のはずだった。

しかし今は、この通り全員が猫の姿…


「……に〜?
(…総司、本当にお前の仕業じゃねぇんだよな?)」

「にゅー、にゅー
(僕にこんな摩訶不思議な事できるわけないでしょ、土方さん)」

「……にー
(副長…、俺も総司ではないと)」

「み〜?
(一君やけに控え目だよね。もしかして恥ずかしがってる?)」

「にっ、にー…
(べ、別に恥ずかしがってる訳では……)」

「にゃっ
(あはは、一君それ完全に恥ずかしがってるし!)」

「みゅっ
(へ、平助!!)」


他者から見れば、それは猫達が集まって騒いでいるようにしか見えない。

しかし、猫である彼らにとっては、これでもちゃんとお互いの言葉を理解できている。


…彼らだからこその特権と言うべきなのだろうか……








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