私と姉様と猫達の七日間

□月曜日
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「に〜?
(でもよ、何で俺達はこんな姿になっちまったんだ?」



少しして、原田が誰もが一番気になっている事を呟いた。

それを聞き、他の五匹もそろって考え始めた。



「みゅー…
(確かに…そこが問題だよな)」

「みにゅ
(昨日の夜、皆そろって変な事をしたとか?)」

「にっ、に〜!
(変な事って何だよ総司! 俺達は夜遅くまで酒飲んでたくらいで−−」

「「「「!! み〜っ
(それだ!!)」」」」


沖田と藤堂の言葉に、他の四匹はほぼ同時に叫んだ(鳴いた)。


彼ら六匹(当時は六人)は昨夜、久し振りに屯所で小さな呑み会を開いていたのだ。

土方は酒が弱い方なのだが、永倉と原田がほぼ強引に呼んだりもしていた。

呑み会は一つと半刻程でお開きとなり、
ほろ酔い状態になった彼らはすぐに床に入ったはずなのだが……


「み…
(何かあったとすれば、あの時だな)」

「にー?
(まさか、酒の中に変なもんでも混じってたのか?)」

「……み
(だが…、一体誰が……)」


斎藤が小さく呟くも、全員その見当は大方ついていた。


昨夜、呑み会に参加していたのは今いる六人と、もう一人。

その人は鬼の副長である土方でさえも苦戦し、
こんな事を起こせる唯一の人物……

それは――


「おやおや、やはり皆さん集まっていましたか」

「「「「「「(……やっぱり)」」」」」」


突然襖が開いて、声とともにその人物は顔を出した。

その人物こそが、総長――山南だった。


彼は六匹を見下ろし、いつもの笑みを浮かべた。


「どうやら、成功してくれたようですね」

「……みー…
(やっぱりあんたの仕業だったか。山南さん…)」

「あなた方の言葉は私にはわかりませんが。言いたいことはわかりますよ。
確かに、昨夜の酒に薬を入れたのは私です。
あの薬は変若水の研究中に偶然できてしまった産物でしてね。どうやら飲んだ者を猫の姿に変えてしまうもののようです」

「に〜?
(でも、どうしてそんなものを僕達に飲ませたんですか?)」

「普通の隊士を使っても仕方ないですからね。それに君達なら簡単に飲んでくれると予想していたのですが、
案の定、成功してよかったですよ」


山南は実験が成功して喜ぶ科学者のように丸眼鏡を上げてにやりと怖い笑みを浮かべる。

それを見た途端、六匹の猫達は怒りを覚えるよりも先に、恐怖と悪寒を覚えてしまった。






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