私と姉様と猫達の七日間

□日曜日
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夏の少し短い夜が流れ――翌朝



今日も京の都は夜の涼しさを残しつつ、昼間の暑さを取り戻しつつあった。


障子越しの朝日の光の眩しさに、咲華は少し顔を顰めた。

もう朝か…、と意識がゆっくり戻ってくると、そこでようやく、彼女はある異変に気付いた。

昨夜の寝る前とは違う、決して小さくはないある二つの変化。

一つは、腕の中にあったはずの小さな命が無くなっていたこと。

寝ている間に抜け出してしまったのだろうか。

しかし、布団の中に咲華一人だけという訳ではなかった。

もう一人、誰かが一緒に布団入っていたのだ。

その誰かは、正面から彼女を腕に抱きしめるようにしてまだ眠っていた。

これでは、昨夜と状況が全く逆になっていた。

自分を抱きしめているんのは誰かと、開けかけた目を上に向けてみると…


『…っ!?』


その光景に、彼女は絶句してしまった。

若さを物語る整った顔、
男だというのに長い睫毛、
そして綺麗な栗色の髪………

幾日かを超えて久々に見た彼は、全く変わっていなかった。

彼の名を、咲華は知っているはず。

だがあまりの驚きのあまり、上手く口から言葉が出なかった。


『な、…なっ、なななぁっ!!?』

「………ん、ふあ〜ぁ。…あ、おはよう、咲華ちゃん」

『そっ、

総司さん!!?』


目を覚まして欠伸をし、こちらの状況などお構いなしに普通に挨拶してきた彼に、
咲華はようやく名前を口から吐き出せた。

しかしそれでも、彼女の動揺が収まる事は無く――


『な、ななな何で総司さんが、わわ私の布団に!? てかソウちゃんは!!?』

「えーっとね、ちゃんと説明するからとりあえず落ち着いてくれるかな?」

『姉様〜!! 起きて起きて!!!』

「…むぅ……何よ咲華…朝からうるさい…」

「咲華、すまないがもう少し…」

「「……ん?

 ……っ!!?」」


元気で声の大きい咲華達とは逆に、
年上の二人組は、同じく驚きつつも声に出ない驚愕を露わにしていた。

もちろん、美咲と一緒にいたのは猫ではなく、人間の姿に戻った斎藤であった。



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