短編小説
□刹那の記憶
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「あ、クローム……」
「クローム、どうしたんです?そんな悲しい顔をして」
え?クロームの名前が分かってる?なんで?
オレのこと、分からないのに…?
「クローム、この男は誰ですか?
さっきから馴れ馴れしく僕の名を呼んでいるんですが」
「骸様…?ボスのことが分からないの……?」
「はい。クローム…どうして僕はここにいるんです?
僕は黒曜に帰ろうとして───ッ」
「骸!?」
「骸様!」
骸が頭を抱えているのを見てからクロームはオレの腕を引っ張って病室から出た
ロビーについたオレ達の間に沈黙が続く
しばらくして、もしかしたら……とクロームが静かに口を開いた
「骸様は…大切な人の記憶だけ失っているのかも…
いわゆる、部分的記憶喪失……」