短編小説

□ノアの方舟
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「どーするよ……」


未だ崩壊の始まっていないところに逃げ込みラビは汗を拭いながら口を開いた


「逃げ続けられんのも、時間の問題だぜ。伯爵の言う通り、3時間でここが消滅するならさ」


「あと2時間レロ」


「どの道、助からないである!」


「……っ」


「少し我慢しろ」


「分かってる……。…ロードって、本当に空間移動ってやつ、出来るの?」


神田によって傷口に巻かれていく包帯から視線を外さないままアレンに訊ねた


「はい。ロードの能力っていう空間移動は僕らも身に覚えがあります」


「うん」


「しゃーねぇ、ってか」


「ち……。終わったぞ」


「ありがとう。久々に治療してもらったよ…」


「え、今までどうしていたんですか!?」


「自分でやってたんだ。まぁ、神田っぽいって考えてくれたらいいよ」


「……ふん」


「で、どうするの?」


全員が視線を交わして固唾を飲んだ



「「「じゃんけんポン!!」」」



「え、早ッ!?」


一発で決まってしまった勝負に雲雀は思わず目を見開いた
アレンはドキドキさせながら近くの扉に近づいていく


「こ……このドアでイイですかね?」

「どれでもイイんじゃね?」

「うん」

「とっととやれよ」

「さっさとしなよ」

「しかし、アレン。ジャンケン、弱ェな。しかも恭弥とユウが何気酷ェ」


アレンがティキの持っていた鍵を差し込むと扉が一変した


「おっ」

「ワォ」

「おおっ」


スッ……と右手を出したアレンに次々と手を乗せられていく


「絶対脱出!です」


「おいさ」

「である」

「うん」

「ウッス」



しかし、二人足りないことに全員の視線がそちらへと向いた


「恭弥、神田〜〜……」


「やるか。見るな」

「いらない」


「ですよねー……」


「行くぞ」


「……うん」


一歩踏み出した神田と雲雀に続いてアレン達も扉の中へと入っていく


「何だ、ここ……?」


「外じゃねェな…」


「!」


「……ユウ」


「あぁ」


「!?神田?」


「シッ、黙れ」


「……いるよ。しかも二人」


少し先にいるのはノアの一員である大柄の男、スキン・ボリックと細身の中性的な顔立ちをしているカルテ・フォーロ


「お前ら、先行ってろ」


「えっ!?」

「ユウ?」


「アレはうちの元帥を狙ってて、何度か会ってる」


「あっちは……僕に何かと突っかかってくるんだよ」


神田は六幻を、雲雀は烈火に手をかけて告げる


「カッ、神田と恭弥君を置いてなんか行けないよ」


「勘違いするな」


「別に君達の為じゃないよ。僕は自分の為に咬み殺すだけ」


「うちの元帥を狙ってる奴だと言っただろ


任務(しごと)で斬るだけだ」



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