短編小説

□対峙と狂乱
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「奴を…許すな…」


「「!!」」


「うそだろ……、まだ……っ」


「あいつ……っ」


「(デカいのを撃とうとしてやがる!
俺の後ろには…………)」


背後の建物に目をやりながら神田は六幻を取り出す


「元来の力を解放し、主に力を与えよ……
第四制御、解除……業火──絢爛……」


雲雀と神田は同じことを考えているようで互いに少し微笑んでいた


「(六幻……耐えられるか)」


「烈火……あと少しだから」


スキンの口から放出された攻撃に耐えようと二人は武器を構えた


「このままいけば、出口だよね。だったら」


「(クソ……!)三幻式!!」


「(耐えてくれ、六幻!

俺の命を──)


吸い高まれ、六幻!!!」

ドンッ!


「くっ……っ(ユウと一緒に、戻るんだ……!)」



「おぉおおおおぉおおおぉぉおおおおぉ」


神田と雲雀、スキンの力がぶつかり合い、周りの岩石は溶けていく


「うそ……っ、どこから……」


力が増してきた攻撃に雲雀が小さく声を漏らした。

「(あいつの体のどこから、こんな力が出てくるんだ)」


「イノセンスは、許さ…ない」


【許さない…】


「!!……ゲホッ……ぅ、」


「(ちっ……恭弥の体にガタが来はじめたか……)」


「ユウ……僕はだいじょ、ぶ……」


「……早く終わらせるぞ」


「うん……」


雲雀が頷いたのとほぼ同時に、神田の六幻が砕け散った


しばらくしてからスキンは神田と雲雀のいた場所まで歩きだすが、その体の左側は抉れてしまっており、存在していなかった

立ち止まったスキンの目の前には動かない神田の姿


「やった…壊した……奴を…。くっ……

ギャハハハハハハハ!!あはははははは」


「…負けるつもりは…更々ないよ……」


「!?今……足の下を何か……
(光が……それに、一人……いや…)」


「吸え……ムゲ…ン」


「!?なんだ…光が…」


「君の相手…は、一人じゃ…ないよ」


「砕けたイノセンスの刃を、繋げていく……っ」


「命を吸う、三幻式だ…」


神田の梵字の周りから伸びていた跡が肩口から背中へと広がっていく
それに呼応するように雲雀の腕に伸びる模様が大きくなっていく


「俺の刀は、まだ死んでねェぞ……ッ」


「剣戟


──風神……!」



斬、と神田の破片から戻った六幻がスキンを真っ二つにし、スキンの背後からは雲雀の剣戟が襲い、背中に八つの傷跡がつけられる



「これで、ホントに終わりだ……」


「わかってねェなあ…言っただろ……ノアは不死……だ
まだ……終わってたまるかよぉ〜」


ドンッ


破裂するようにスキンの体が砂へと変わっていく


「うる…せェよ。終わっとけ…」


「……烈火……壊れちゃった……」


「ち……コムイの奴に頭…下げね…と、な…くそ……」


「嫌だ、な……頭下げるの…。何か言われ、そ……」



その言葉には力が無く、苦笑いをする二人は互いに手を握った


「ユウの手…あったかい……」


「恭弥も、な……」



ガラガラ……と音を立てて出口があった背後の建物が崩れていく

その崩壊に巻き込まれる二人の口許には笑みが浮かんでいた




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