短編小説

□requiem
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「マテールの亡霊がただの人形だなんて……」


「イノセンスを使って造られたのなら、ありえない話じゃない」



──ゾクッ



「!……駄目だね、これは」


マテールの地を見下ろしながら雲雀は呟くと神田は、ああ、と同意した


「ちっ、トマの無線が通じなかったんで急いでみたが……殺られたな」


「…………」


「おい、お前
始まる前に言っとく。お前が敵に殺されそうになっても、任務随行の邪魔だと判断したら、俺は、お前を見殺しにするぜ!」


「これは戦争なんだ。犠牲は当然。変な仲間意識を持たないことだね
神田以外は僕にとってどうでもいいし」


「嫌な言い方」


ドンッ!


「神田、レベル2が2体、それからレベル1が10体ほど
……どうする?」


「最優先はイノセンスだ」


「了解
……ん?ねぇ、あの新入りは?」


「やめろ!」


少し離れた位置でアクマに対して武器を発動していたアレンの声が雲雀の耳に届き、小さく舌打ちをした


「…レベル2はまだ君には倒せない」


「(馬鹿が……考えナシに突っ込みやがって。恭弥の話なら、レベル2に進化したアクマ……初期レベル時より格段に強くなってる上、自我を持っている

能力も未知数だ──)」


「あそこにいるのが人形だろうね」


「あの結界も4つではそう長くは、もたないな……」


「ユウ……僕はレベル2と邪魔なレベル1を破壊する
その間に、解除コードとイノセンスを頼んだよ」


「分かった。無茶はするなよ」


「僕がこんな雑魚に負けるつもりはないよ」


「(フッ)…そうかよ
いくぞ、六幻!」


「いこうか、烈火」


「(──抜刀!)」


口角を上げて雲雀は自身の対アクマ武器、《烈火》と呼ばれるトンファーを構え、その隣で神田が黒かった刀身を指でなぞると神田の対アクマ武器である六幻が発動する


「「(イノセンス──発動!!)」」



《ギャアアアアァアァアア!》


「「!?」」


「烈火、第一制御、解除……」


「六幻、災厄招来!」


「──煉獄!」


「──界蟲《一幻》!!」


神田と雲雀によってレベル1のアクマは次々と破壊されていく



「あーっ!?もう二匹いた!」


「さぁ、残るは君だけだレベル2」


「玩具を壊しやがってー。お前、エクソシストだろ!」


「それがどうしたんだい」


「だったら、壊すだげだぁ゛!」


「それはこっちの台詞だよ。アクマは咬み殺してあげる」


烈火に付いたアクマの血を振り払いながら雲雀は楽しげに笑って地面を蹴りあげる


「背中ががら空きだぁ!」


「……いちいち煩いな。煩いの、嫌いなんだ」


雲雀が鬱陶しそうに言い放つと同時にアクマの目の前に雲雀の顔が近づく



「おとなしく、壊されなよ」



ドンッ!!



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