短編小説

□requiem
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トマの言葉と共に雲雀と神田は振り返るとそこに立っていたのは左右逆のアレン


「…カ…カ…ンダァ」


「さ、左右逆……っ」


「どうやらとんだ馬鹿のようだな」


「カ…ン…ダ…ド…ノ」


「!」


「災厄招来!


──界蟲一幻!無に還れ!」


「神田!そいつはアクマじゃない!」


雲雀の叫びは届かずアレンもどきに界蟲一幻が当たる寸前で攻撃は止められた


「!!」


「ウォ…ウォーカー殿……」


「キミは……?」


「モヤシ!!」


「神田……」


「どういうつもりだ、テメェ……!!
なんでアクマを庇いやがった!」


「神田、僕にはアクマを見分けられる《目》があるんです
この人はアクマじゃない!」


「……さっき、神田を殿って呼んだ。そんな二人称で呼ぶのは、トマだけのはず……」


アレンは違和感に気づきもどきのひび割れた部分を裂くと中から現れたのはトマだった


「何……っ!?」


「だとしたら、僕達と一緒にいたトマは……」


「そっちのトマがアクマだ神田ッ、雲雀ッ!」


「ッ!?」


「……っ、れ、か……っ」



雲雀と神田を壁に勢いよく押し付けていく、その間にいくつもの壁を突き破っていく
二人は腕の感覚がなくなってしまい力が抜け、武器が床に突き刺さる
二人の抵抗が無くなるのを確認したアクマはニタリ、と口角を上げて奥の壁に押しつけた


「テメェ……いつの間に…っ」


「へへへ。お前らと合流した時からだよ!黄色いゴーレムを潰した時、一緒にあのトマって奴も見つけたんだ」


「こいつの《姿》なら写してもバレないと思ってさぁ
ほら、お前らも左右逆なの気にしてただろ?」



「それであの新人の姿をトマに被せたってわけ、か……」


「んん?お前、痛みを感じないのか?いや、関係ないか
私の皮膚は写し紙。まんまと殺られたな、お前ら」


「……はっ!」


神田の首を絞める手を動かし肩から腹部にかけて切り裂き、雲雀の方は更に首を絞める


「ケケケケ」


「痛みを感じないのか、って聞いたね……感じないよ」


「だったらそのまま死ねよ!」


アクマは右手を使い、雲雀の横腹を貫いた


「……死ぬつもりは毛頭ないよ…」


「死ぬかよ……」


「俺は、あの人を見つけるまで、死ぬワケにはいかねェんだよ……それに、恭弥を独りで置いておけるかってんだ……っ」


「ギャヒャヒャヒャヒャ!!すげー立ちながら死んだぞ!」


「──……っ、ユウ……?ねぇ、ユウってば……返事してよ」


「…………」


「ユ、ウ……
……っ、許さない……レベル2ごときが……っ」


雲雀は足に力を込めて踏ん張り立ち上がった
その時、雲雀の目の前でアクマの体が上半身と下半身で真っ二つに別れた


「……!」


「お前ぇえぇえ!!」


バンッ!


大きく音を立ててアクマは壁へと叩きつけられた。雲雀は我に戻ると神田の元へとふらつきながらも歩み寄る


「神田!」


「ユウ……っ、」


「…ハ……ハ…」


「よかった……生きてる……っ」


「雲雀!血が……!」


「……別に、痛くないから平気。神田は僕が背負うから、君はトマを
イノセンスを渡しちゃ、駄目だ……」


「え……でも…怪我が…!」


「煩い。……神田は絶対に死なせない……」


神田を背負って雲雀は自身から流れる血も気にせず歩き出した
アレンもトマを抱えてそのあとに続いた



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