短編小説

□requiem
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とある夜明け前……



ヒュオ


キィィン──……



「終わりだな」


「うん。ふわぁ……もう夜明けか…」


「飯、食いにいくか」


「うん!」


先程まで武器を交えていた二人は武器をしまって森をあとにする
















「ハンバーグ定食と蕎麦、おまちどーん!」


「ありがと。早くユウのところに行こーっと」


「相変わらず仲がいいわね。あの子と一緒にいて喧嘩しないの、恭ちゃんだけよー!」


「慣れだからね」


右手にハンバーグ定食の盆を、左手に蕎麦の盆を持ちながら雲雀は神田の元へと歩いていく


「はい、ユウ」


「悪いな」


「いいよ。本当、ユウって蕎麦が好きだね」


「まぁな。だが、ジェリーの作るやつが一番旨い」


「僕もジェリーのハンバーグ定食が大好き」


そうか、と二人は箸を持って食事を始めた
二人の食事が終わる頃に後ろからすすり泣く声が聞こえた


「……っ、うぅ……っ」


「何でこんなとこで追悼してるの。ここ、食堂なんだけど」


「飯が不味くなるな」


「何だと、コラァ!!」


「もういっぺん、言ってみやがれ、ああっ!?」


「おい、やめろバズ!」


「……煩いな」


「メシ食ってる時に後ろでメソメソ死んだ奴らの追悼されちゃ、味がマズくなんだよ」


「テメェ……それが殉職した同志に言うセリフか!
俺達、探索部隊(ファインダー)はお前らエクソシストの下で命懸けでサポートしてやってるのに……それを……それを……っ


メシがマズくなるだと──!!」


「本当のことだろう?」


バズと呼ばれた男性が神田に向かって腕を降り下ろすが神田は簡単に避け、男性の首もとを鷲掴む


「うぐっ」


「《サポートしてやってる》だ?」


「違げーだろ。サポートしか、できねェんだろ
お前らはイノセンスに選ばれなかったハズレ者だ」


「げふっ」


「あのさ、死ぬのがそんなにイヤなら辞めれば?
貴方ひとり分の命なら代わりはいるしね」


つまらなさそうに頬杖を付いていた雲雀はん?と神田の方へと目をやった


「ストップ」


「……」


「関係ないとこ、悪いですけど、そういう言い方はないと思いますよ」


「……放せよ、モヤシ」


「(モヤ……っ!?)
アレンです」


「確か……門番の審査に引っ掛かった、クロスの弟子か」


「はっ、1ヶ月で殉職(くたばら)なかったら、覚えてやるよ」


アレンが神田の手首を握った手に力を込めると男性の首から放された


「だから、そういう言い方はないでしょ」


「早死にするぜ、お前……。キライなタイプだ」


「そりゃ、どうも」


「はぁ……」


二人が睨み合うのを見ながら雲雀は面倒くさそうにため息を吐いた


「あ、いたいた!神田!雲雀!アレン!
10分でメシ食って司令室に来てくれ。任務だ」


「嫌な予感がする」


「ちっ……行くぞ、雲雀」


「ん。神田との任務、久しぶりだね」


「そうか?」


「うん。だって前回はリナと一緒でその前はラビだったから
だから、嬉しいな」


ふわりと笑った雲雀に吊られるように神田も笑みを浮かべた




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