くりすます・しいん

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01/08(Sun) 14:52
〜〜メリー・クリスマス 二人だけのクリスマス・プレゼント(続)〜〜
ひがし

ひがしです。

ものすごく遅れましたが、前のお話の続きです。
本当はセットで送りたかったのですが、クリスマスまでに書き上げられませんでした。

レスからお話です。

01/08(Sun) 14:53
〜〜メリー・クリスマス 二人だけのクリスマス・プレゼント(続)〜〜
ひがし

9時58分。
約束の時間まであと2分。

チクタクチクタク……

うぅっ、なんかこうやって待つのは辛いものがあるな。

チクタクチクタク……

あと1分。
あと30秒。
あと10秒。
5秒。
4……3……2……1……

よし、時間だ!

「メリー・クリスマス、さくら」

ちょっと照れながらのメリー・クリスマスに応えてくれたのは

「メリー・クリスマス、小狼くん!」

クリスマスを祝う言葉と一緒に抱きついてきたさくらの温かい体……

〜〜メリー・クリスマス 二人だけのクリスマス・プレゼント(続)〜〜

数時間前のこと。

「どうした、さくら。家に入らないのか」

クリスマスのデートを終えてさくらを家まで送り届けた小狼は、ちょっと不思議そうな顔でさくらに問いかけました。
さくらがなかなか家に入ろうとしなかったからです。
なにか家に入りにくい理由でもあるのか? ひょっとして桃矢のやつとケンカでもしたのか? などと考えていたら、

「今日はうちに誰もいないの」
「え?」
「お父さんは発掘調査に出かけてて、お兄ちゃんは雪兎さんと一晩中バイトなんだって。ケロちゃんは知世ちゃんの家にケーキ食べに行っちゃったし。だから今日はわたし一人しかいないの」

とインパクト抜群の返事が返ってきました。
クリスマスの夜に家に誰もいない?
こんなことを可愛い彼女の口から(しかもその家の前で)告げられて平静でいられる男の子などそうはいません。

「そ、それで?」

問い返す声がちょっと上ずってしまったのも仕方のないことでしょう。
それで? などと聞いていますが、ここで返ってくる答えはわかりきっています。

「今日はずっと一緒にいて欲しいんだけど……ダメかな?」
「ダメなわけないだろ!」

もちろん即答です。

「ホント? よかった〜〜。じゃあ、もう一つお願いがあるんだけど。いいかな」

クリスマスの夜に一緒にいて欲しい……
さらにもう一つお願いがある……
こんな意味ありげなことを言われてしまっては小狼くん、もうドキドキものです。

オレ達にはまだ早いんじゃないのか?
でも、さくらの方から言ってきてるんだし。
日本には「据え膳食わぬは男の恥」とかいう諺があるって山崎も言ってたよな。
で、でも! い、いいのか? さくら!

そんな不純な期待をしてしまうのも無理からぬことでしょう。

「あ、あぁ。なんでも言ってくれ!」

小狼くん、声が1オクターブ上がっちゃってますね。
頭の中は

『わたし、小狼くんと一つになりたい』
『小狼くんが欲しいの……』
『クリスマスの特別な思い出をちょうだい……』

どれを言われてもカッコよく返事しなければ! という考えでいっぱいいっぱいです。

ですが。
そんなちょっとイケない方向に暴走しそうになった小狼くんを引き戻したのは

『去年と同じ時間にメリー・クリスマスって言ってほしい』

というさくらのお願いなのでした。

01/08(Sun) 14:55
〜〜メリー・クリスマス 二人だけのクリスマス・プレゼント(続)〜〜
ひがし

「う〜〜ん、なんだかなぁ」
「ん? なに、小狼くん」
「いや、『お願い』なんて言うから、何を言い出すかと思ったんだけど。こんなことでよかったのか?」

そう聞いてしまうのは当然のことでしょう。
去年のお願いはわかります。
あの時はしばらくの間、声を聞くこともできなかったからです。
でも、今は違います。
毎日会うことができますし、今日などは丸1日つきっきりでデートしていたのです。
今さら、メリー・クリスマスの一言が欲しいと言われてもピンときません。
小狼くんの疑問もごもっともなものです。
(イケない期待をスルーされたという不満もちょっぴりありますけど)

でも、そこはやはりさくらちゃん。
こんなお願いをするのは、それなりの理由があったからのようです。

「うん! あのね。これはクリスマス・プレゼントなの」
「プレゼント? オレからさくらへのプレゼントってことか?」
「それもあるけどね。これはわたしから『去年のわたし』へのプレゼントなの」
「去年のさくら……?」
「うん。去年のわたしは頑張ったから! 去年ね、小狼くんのメリー・クリスマスを聞いた時、やっぱり思っちゃったの。小狼くんに会いたい、抱きしめたいって。会えないのは辛いって。それでも、去年のわたしは泣かないで頑張ったから! だから、今年のわたしから去年のわたしへのプレゼントなの」
「……そっか」

そう言われたら小狼くん、もう何も言えません。
さくらは健気に「泣かないで頑張った」と言ってくれていますが、きっと何度も泣いてしまったことでしょう。
そして、そんな辛い思いをさせてしまったのは他ならぬ自分なのです。
こんな時に気の利いた一言でもかけてあげられればいいのでしょうが、残念ながら小狼くんはそんなキャラではありません。
小狼くんにできるのは……

「ほ、ほえ? 小狼くん?」

この愛しい少女を強く抱きしめ返すことだけです。

「じっとしててくれ、さくら……。オレもプレゼントを贈りたい。去年のオレへ……」
「小狼くんも?」
「あぁ。去年のオレも頑張ったから。今のオレはもうあんなに頑張れないから。お前と離れて頑張るなんて、今のオレにはできないから……」
「小狼くん……。そうだね。わたしももう、小狼くんと離れて頑張るなんてできないよ。う〜〜ん、去年のわたしってすっごいがんばり屋さんだったんだなぁ」
「そうだな。だから、プレゼントだ。今のオレとお前から。去年のオレとお前へ」
「うん!」

◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇

さあ、クリスマス・プレゼントを贈りましょう。

いつかのわたしへ。
今のあなたへ。

今夜は素敵なクリスマスの夜……

END

01/08(Sun) 15:36
〜〜メリー・クリスマス 二人だけのクリスマス・プレゼント(おまけ)〜〜
ひがし

「少し早いけどもう寝ようか。今日は歩きっぱなしで疲れたし」
「あぁ、そうだな。たしかにちょっと疲れたな」

さて。
『去年の自分たち』へのクリスマス・プレゼントを贈り終えたさくらと小狼。
丸1日、遊園地でデートをしていたこともあって、ちょっぴり疲れ気味です。
少々早めですがオヤスミすることにしました。

「で、さくら。オレはどこで寝ればいいんだ? 桃矢の部屋か?」

ここで小狼くんがそう聞くのは当然でありましょう。
しつけの厳しい李家で厳格に育てられた小狼くん。
夜蘭さんや偉さんから「男女七歳にして同衾せず」の教えをみっちりと仕込まれています。
(時々忘れますけど)

しか〜〜し。
小狼くんのお相手は「超天然」のさくらちゃん。
そんな小難しい教えなど端から頭にありません。

「なに言ってるの。もちろんここだよ」
「ここって……さくらのベッドか!?」
「そうだよ」
「そ、それって……さくらと一緒ってことか〜〜??」
「そうだけど。わたしと一緒じゃイヤ?」
「い、いや! そんなことはないぞ!」
「じゃあ、一緒に寝るよ」
「あ、あぁ!(ど、どういうつもりなんだ、さくら! 一緒のベッドで寝るって……や、やっぱり……?)」

やっぱりイケナイ展開を期待しているのか!? とドキドキしてしまう小狼くん。

ですが。

「♪♪〜〜♪ 小狼くんと一緒にオヤスミ〜〜嬉しいなぁ〜〜♪♪」
(ダメだ……。こいつ、何も考えてない……。ホントに『一緒にオヤスミする』だけだ……)

さくらちゃんのあまりにも無防備&何も考えていない姿に、イケナイ期待はあっさりと崩れ去ってしまうのでした……

◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇………◇

(ふふっ、今日は1日、最後まで小狼くんと一緒だ。嬉しいな〜〜)
(う、うわ〜〜っ、さくら、あんまり近寄るな〜〜!! む、胸があたる、あたってる〜〜!! う、うわわわわ〜〜〜〜!!)

今夜は素敵なクリスマス・イブ。
でも、若干一名、少し眠りにくそうな感じです。

おしまい。

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