くりすます日和。

くりすます日和。をあなたと♪


ここでは、サイトマスター・ももくりとはまだようこがテーマに沿った作品を発表しています。


テーマは『クリスマスのセリフ』

お題のセリフに沿って、
お話を作ってしまう、なんとも楽しいプチ企画。

セリフは掲示板でも募集します。

どしどしご応募くださいね。


あなたも一緒に、
ハッピーなくりすます日和。を過ごしませんか?



クリスマスのセリフはこちらです

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12/30(Fri) 16:55
小さなサンタ
ももくり

あわただしい日が続いていますが、やっと小話ができましたのでUPします。
本編はレスを開いてお楽しみください。

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12/30(Fri) 16:59
ももくり

「あのね。小狼君」

彼女が何気なく呼ぶ自分の名前に、心臓が跳ね上がる。
それといっしょになんだか赤くなる顔。
大道寺が「ほややん」というだけあって、きっと自分のそんな変化には気がつかないだろう。

−静まれ心臓

そう何度か言い聞かせて、そのままだと上昇しそうな赤みをおさえつける。
それでもなおいつもよりも数倍はやい鼓動を隠しながら平静を装って、大きく開かれた緋色の瞳に返事を返す。

「な、なんだ」

抑揚のない返事と、上手く出てこない一言に舌打ちがしたくなる。

−どうなってる、俺。こんなことで緊張するな。

「あのね、サンタさんってどこに住んでいるのかな。いつもお手紙を書くけど、住所って書かないんだよね。なのにサンタさんにお願いしたことは知っているし、小狼君は知ってる?」

−まて、待ってくれ。サンタって何だ。何の話をしているんだ。

 サンタなんて架空の人物で、それが何でここに出てくるんだ。

12月に入って、町を彩る景色が赤と緑になった。
二回目の日本の冬は、いつもよりもほんの少し素敵に見える。
それでも、クラスの中をたまに行き交う『サンタ』という言葉に疑問符が浮かばないこともないが、自分に関係のないことは、口に出すこともないだろうと一定の距離を保っていた。
そんな距離を打ち破るようなさくらの問いかけは、どんな対応をすればいいのか、自分の中に持っている距離を保てない。

「それはきっと、お手紙に書いたことがサンタさんのお心に届くからですわ。ですからお手紙を書くだけで、サンタさんにはさくらちゃんの欲しいものがお分かりになるんです」
「そっか、そうだよね。すごいねサンタさん」

やんわりとした声の説明に深くうなずくと、納得したように顔を上げた。

「ありがとう、小狼君、知世ちゃん」

さっきまでの疑問が吹き飛んだような顔には、翡翠色の瞳を細めた笑顔。

「いえ、そんな、こんなことなんでもありませんわ」

片手をほほに当てながら、大道寺はうっとりと彼女の顔を見つめ返した。

「さくらちゃーーーん」

教室の端のほうからした声に誘われて、さくらが席を離れると、微笑を残した大道寺が口を開いた。

「さくらちゃんは、まだサンタさんを信じていらっしゃいますのね。素敵ですわ」
「日本にはサンタが来るのか」
「良い子のところにプレゼントを持ってきてくださいますのよ」
「そ、そうなのか」
「たいていお父様サンタですけれど、中にはさくらちゃんのように純粋な方が信じていらっしゃいますのよ」

大人びた微笑は、話をするたびにどこかを見透かされるようで、素直に笑えなくなる。
彼女は、サンタにどんなお願いをしたのだろう。
その後姿を見つめながら、誰よりも純粋な彼女の心をうらやましく思った。

何かを疑いもなく信じる心。
誰かのために、みんなのためにあきらめない気持ち。

それを守ってあげたいと思う。
傷つけられないように、いつまでもまっすぐなままでいられるように。

「李くんは、クリスマスにはお帰りになりますの?」
「いや、何があるかわからないから」

さくらカードを維持するための魔力は以前にも増してきているし、作り変えた後の眠気も今ではほとんど見られない。
それでもクロウカードがまだある限り、何かが起こる。

「まあ、ご家族にお会いすることよりもさくらちゃん。とってもすばらしいですわ」
「なっ、お、俺はただ、あいつが怪我とかしたら大変だから」
「そんな良い子にはきっと、さくらサンタさんが来てくださいますわ」

『さくらサンタ』大道寺の言ったことば、その意味がわかるのはその数時間後。

「小狼くん。メリークリスマス!」

そんな言葉と一緒に小さな包みを差し出したとき。

思いもしない贈り物。

小さなサンタが届けてくれる贈り物がとても素敵に思えた
赤い帽子も、白いひげもないけれど
温かな心をくれるサンタクロース

これからもずっと『さくらサンタ』がくればいい。

小さな願いが、サンタに届くように・・・。
繰り返し心の中で唱えた。

fin

遅くなりました。
クリスマスのお話。ぜんぜん甘くないけれど、小狼君の切ない気持ちを書いてみました。
片思いの気持ち。
それを感じてもらえれば幸いです。

2011.12.30
ももくり

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