★assortment stories2
□present story
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I was born to love you
― If you do not love me,
I love you enough for both.
I’ll never leave you alone.
Believe me…… ―
― 君が俺を愛してくれないなら
俺が君をふたり分愛するよ
君をひとりにするようなことなんてしない
だから信じて…… ―
ヒロインside
2011年もあと僅か…
『もしかしたら』という淡い期待も無残に散り、彼と迎える筈だった2回目の大みそかも実家で過ごしている。
「はぁ……」
今日何度目のため息だろう。
そんな私の気持ちなど関係なく、普段は寡黙な父が上機嫌で晩酌をしている。
テレビでは年越しのカウントダウンが始まった。
「はぁ……」
ずっと睨めっこしていた携帯から愛しい人の着信音が鳴り、慌てて自分の部屋へ向かうため階段を駆け上がった。
「は、はいっ、もしもし?」
「クスッ、どうしたの?慌てているようだけど大丈夫?」
「まさか電話してもらえるとは思っていなくて…忙しいんでしょう?」
「相変わらずこき使われてるよ。
だからせめてちぃの声を聞きながら一緒に新年を迎えたいと思ってね」
「同じ気持ちでいてもらえたなんて……嬉しいよ」
10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…
「「a happy new year 〜」」
「明けましておめでとう、今年もよろしくね」
「明けましておめでとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします」
「さぁて…ちぃと新年の挨拶もできたことだし……もうひと頑張りするか」
「葵……」
「ん?なあに?」
(徹夜で疲れているのにわがままかな……)
「どうしたの?言ってごらん?」
「あの……明日は家に帰れそう?」
「この2日寝ずに働かされているからね……流石に明日は自分のベッドで眠りたいな」
「もし迷惑でなければ、明日泊まりに行ってもいい…かな?」
「もちろん。ちいと一緒に過ごせるのに迷惑なわけがないでしょ?
夕方には帰れるように頑張るから。先にマンションで待っていてくれる?」
「うん!!」
「いいお返事だ。それじゃぁね、おやすみ」
「おやすみなさい」
現金なことにこれまで憂鬱だった気持ちが一気に晴れてしまった。
(明日は一緒にいられる)
「あっ、そうだ!」
階段を駆け下り台所にいる母の元へ行くと、家で使う物より一回り小さいお重を出してもらう。
それに母と一緒に作ったおせち料理を詰め始めた。
(これだけあればもし細野さんと太田さんが居ても足りるよね?)