囚われの姫君

□交差する視線
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「護衛、ですか?」


「あぁ。四大貴族よりも上を行く大貴族と書類に書いてある」


「…なんか…肩凝りそうですねぇ…」









ある晴れた日。


十番隊に重大な任務が与えられた。


その任務とは。



「朽木隊長より上の貴族かぁ…」



四大貴族よりも上を行く、王の一歩手前に君臨する大貴族の護衛。



しかも。


「鬼道を尸魂界に伝えた一族だ」



死神の戦闘術は大別して、“斬拳走鬼”と四つに分けることが出来る。


十番隊が護衛を任された貴族は、そのうちの一つである“鬼道”を創り上げた一族なのだ。


「へぇ!じゃあ、あたしらが使う鬼道を創ったってことですね!」


「あぁ。」



そんな大貴族の護衛を任された隊の隊長、日番谷冬獅郎と副隊長である松本乱菊。


二人は詳しい説明を聞くべく、貴族の邸へと向かう。












「無駄にでかいですね」


「…貴族だからな」




護衛先の大貴族の邸の前。


巨大な門を見上げる二人。



「まずは当主と警備の配置を決めるぞ」


「はぁい」


冬獅郎が門に手を付けば。



ゴゴゴゴッ



と、すごい音を立てながらゆっくりと門が開いた。





「十番隊の方々でございますね?」



その先にいた凡そ五十人はいるだろう使用人が二人を出迎えて。



「ご当主様がお待ちでございます。どうぞこちらに」



執事である老人が先導し、冬獅郎も乱菊も執事について行こうとすれば…。


「申し訳ございませんが、隊長様お一人でお願い致します」


「「……」」


副隊長の乱菊はダメ!ってことで。


「…あたしも一応隊長格なんだけどなぁ…」


乱菊はため息を零す。


「…終わったら呼ぶから、その辺にいろ」


「はいはい…」


冬獅郎は乱菊を残し、執事と行ってしまった。








「……はぁーあ…。隊長と副隊長の扱い方が全然違うのね…」


手持ち無沙汰な乱菊はフラフラと邸内を歩き出す。



女性死神協会の本部として朽木家に出入りしているが、やはり四大貴族を凌駕する大貴族あって、庭園や建物は朽木家よりも大きい。


「鯉もウザいくらいいるわねー」


大きな池には、高そうな鯉がたくさん泳いでいて。


橋も長いしたくさんあるしで。


「…庭で迷子になりそうだわ…」



乱菊は再度ため息を零した…。



















「隊長まだかなぁ…」


邸の少し奥。


10mほど高い位置に窓がある建物の前。


池の前にしゃがみ、ブチブチと草を抜いて池に放る。


「お腹空いてきたし…」


文句を言いながら、パタンと倒れた。









「ん?」









乱菊が見上げた先には、差ほど大きくもない窓があって。







乱菊は体を起こし、窓を見上げる。







「………」







乱菊の目に映ったのは。









「ご息女かしら、あの子。」










無表情に乱菊を見つめている、一人の少女の姿。




「おーい!ちょっとー!」



「………」



「んま…。無視したわあの子…」







この出逢いで、二人の運命は大きく動き出す。





儚く、哀しく…。




刻々と…動き出す──…。





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