世界の在り方
□第1話 光
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ばたばたと騒がしいウリズン帝国騎士団本部に、任務から帰ってきた私は首を傾げた。
肩に乗る相棒の黒猫―フェリーチェを撫でながら私は近くにいた騎士の一人を捕まえた。
「あ、ふ、副団長っ…!」
「ねぇ、この騒々しい本部は何?」
「そ、それはですね」
世界樹が光ったらしいんです、と目の前の彼は言った。
世界樹が?と尋ね返せばおどおどしつつも躊躇いなく頷かれる。
「ふーん…。あ、行っていいよ」
「は、はい。それでは」
そうして駆けていく騎士を見送り、私は「世界樹がねぇ」と呟いた。
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「それは…もしかしたら"ディセンダー"が現れる前兆かもしれませんよ!」
「"ディセンダー"とは?」
場所が移り、帝国の城の温室。
私の目の前で花を愛でているのはこの国の姫―サルヴィリア様。
そんな彼女に先程本部で聞いたことを話せば今の言葉が返ってきた。
「えっと、ですね。"ディセンダー"というのはこの世界"ルミナシア"が危機に瀕した際に現れる方のことです」
「救世主ということですか」
はい、と言って柔らかく笑った彼女の金の髪がふわりと浮く。
こちらへと振り向いた姫様に私は「どうされました?」と尋ねた。
「今日はフェリーチェも一緒なのでしたね、と思い出して」
そう言ってフェリーチェを撫でる姫様に私は「そうですね」と返した。
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