世界の在り方
□第2話 任務
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「で、何の用でしょうか?団長?」
「アーシィ、そんなに怒るな…。あいつを止められるとなると君ぐらいしか思いつかないのだから」
「あいつ?」
サルヴィリア様の元から本部に戻ってきて早々に団長の元へ行った私は彼の言葉にそう尋ね返した。
あー、予備のバレッタ持ってくればよかったかも。髪が案外邪魔。
「サレだ。コンフェイト大森林のへーゼル村管理の星晶採掘の指揮を離れたらしい」
「は?どうしてですか。仮にも指揮を任された人間が場を離れるなんてよほどの理由がなければ…」
「そう。その"よほどの理由"があるんだ」
神妙な面持ちの団長に私は「なんですか、それは」と問う。
すると団長はゆっくりと口を開いた。
「ガルバンゾ国の姫が誘拐…と言う名の脱走をしたらしい」
「え…」
「なんでも星晶に関して調査するために国のギルドに依頼したのを国は誘拐とみなしたらしいな」
ぽかんと口を開けていると、団長はそれに構わず話を続ける。
「サレはその姫を"人質"として帝国へ連れて行こうとしている。…騎士団ではない、上の人間の命令でな」
「なっ…!そんなことしたら戦争になるのは確実じゃないですか!いくら人質って言っても…!」
お偉いさん方も何考えてっ、と言う私に団長は「だから今回の任務だ」と言った。
「今回の任務はサレを止めること。少なくともガルバンゾ国の姫をサレに渡すな、だ」
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