世界の在り方

□第5話 アドリビトム
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周りの視線が痛い。

そりゃ当然なのだけど、さ。

ウリズン帝国の騎士なんて悪い印象しかないでしょうし…。



「あ…!あの時のお姉さん!」



その声に顔を上げれば、あの時ルバーブ連山にいた桃色の髪の少女。

後ろに白銀の髪の少年がいるってことは彼が呼んだと考えるのが妥当だろう。



「あのっ!私、カノンノ・グラスバレーって言います!あの時はありがとうございました!」

「僕はシャネイル。僕からも、ありがとう」



桃色の少女―カノンノちゃんと白銀の少年―シャネイルくんの二人からお礼を言われ、私は目を丸くする。



「大したことじゃないでしょう。…まあウリズン帝国の騎士としてならおかしいことかもしれないけど」



苦笑しながらそう言えば、シャネイルくんが「サレの事?」と尋ねてきた。



「そう、ね。彼は典型的な帝国の騎士…」



そこまで言って私は目の前にやってきた水色の髪の女性に気付いた。

女性はにこりと笑い、口を開いた。



「私はアンジュ・セレーネ。このギルド、アドリビトムのリーダーです」

「…私はウリズン帝国騎士団副団長のアーシィ・コルウェットと申します」

「あら。堅苦しくなくていいのよ?」



そう言って微笑む彼女―アンジュさんに私は首を振る。



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