裁縫少年
□第9話 パートナー
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さて、あの後気付いた棗が爆発を起こしたり、なんか逃げたりしたけど今はひとまず教室に俺達はいる。
ていうか、さ。
「鳴海先生、B組の担任だったんですね」
「あれ?知らなかったっけ?」
普段は色々と副担任の先生に任せきりらしい鳴海先生に内心呆れていると、教室に棗が入ってきた。
その姿は最後に見たものと違っていて、あの黒猫の「罰則面」と体の至る所に傷があった。
「え…」
「棗っ!」
傷だらけの棗は話しかけてきたパーマの子の机を蹴り飛ばし、自分の席へと着く。
…少なくとも機嫌は良くないらしい。
「はーい。皆が揃ったところでお話がありまーす」
パンパンと手を叩き、鳴海先生がそう言う。
なんでも俺と蜜柑のパートナーを決めるらしいんだけど…。
「先生」
「ん?何かな、左緒君」
「俺パートナーってのはいいです。皆やりたくなさそうですし」
「そうだねー。すごく面倒臭いもんねー。じゃ、まあ左緒君はいいとして、蜜柑ちゃんのパートナーはこっちで勝手に決めさせてもらいました」
発表しまーす、と語尾にハートをつけながら鳴海先生が言った名前は。
日向 棗、だった。
その一言に教室中が騒ぎ出す。
そんな役目棗さんに回さないだろ、とか。
何者だよあの新入生、とか。
とにかく凄い騒ぎとなったんだ。
*****
「ちょっと佐倉さん、品原君。貴方達の星階級いくつ?」
「…はい?」
「…星階級ってこれの事か?」
パーマの子…正田 スミレって言ったかな。
彼女の言葉に、教室に戻ってくる前に鳴海先生に渡された二つの星のバッジを俺をポケットから取り出す。
「あ、品原君は『ダブル』なんだね」
「…その星階級って、何なん?」
その蜜柑の言葉に正田さんは「星階級も知らないなんて!!」と声をあげた。
飛田によると、星階級ってのは所謂総合評価のシステムらしい。
星3つの「トリプル」、俺が持ってた星2つは「ダブル」、そして初等部の大半の星1つの「シングル」。
例外として「スペシャル」と「星なし」ってのがあるらしいけど、それは滅多にいないらしい。
「で、飛田や蛍はトリプルな訳か」
棗は何なんだ?と聞けば正田さんから「初等部唯一の幹部生(スペシャル)よ!」と答えられた
その言葉に蜜柑は信じられないと言いたげな表情をしていた。
でもトリプル2人を歯牙にもかけないんた。
納得、といえばそうなるかな。
1人そんなことを思っているとチャイムが鳴る。
次神野の授業じゃん、と慌て出すクラスメイトに俺と蜜柑は首を傾げる。
「神野って先生か?」
「うん。初等部の総監督で算数の先生なんだ」
厳しい先生だから気をつけてね、という飛田に俺は「わかったよ」と返した。
「まあ左緒君はともかく、蜜柑が心配ね」
言いながらスタスタと自分の席に戻っていく蛍に俺は小さな苦笑を漏らした。
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