世界の在り方

□第5話 アドリビトム
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「いくらサレの単独行動とはいえ、それを止められなかったのはこちらの責任。申し訳ございません」



そう言って頭を下げれば、アンジュさんは初めて慌て出した。



「いいのよ!頭をあげて!私達は貴女を責めてるわけじゃないの!」

「…はあ」



必死な声の様子に顔を上げればアンジュさんはほうと安堵の息を吐いた。



「でも、そっか。あれはサレの単独行動で、貴女はそれを止めに来たのね」

「はい。一応私は彼の上司にあたりますので逆らうことはしませんしね」



腰の細剣を撫でながら私は笑う。

すると、アンジュさんは「これからどうするの?」と尋ねてきた。



「帝国に帰ろう、と思っていますが…」

「…ねえ、貴女さえよければアドリビトムに加入してくれないかしら?」



その言葉に私は「へ、」と随分間抜けな声を漏らす。

それとは対照的に喜んだのはカノンノちゃんとシャネイルくんだ。



「本当ですか?アンジュさん!」

「アンジュ、本当?」

「ええ。帝国の騎士団の副団長様なら申し分ないでしょ?」



話が進む彼等に私は慌てて声をかける。

さ、流石にそれは…!



「わ、私には帝国に守るべき姫様と民がいるのです!ですからそれを承諾するのは…」

「あら?駄目?さっき『こちらの責任』って言ったよね?だったら責任取ってくれるんだよね?」



その言葉がぐさりときた。

…た、確かに言ったけども…。



「少しの間だけでも、良いんだけどな?」

「〜〜〜っ、分かりましたよ!少しの間ですからね!」



降参です!と言いながら両手をあげる。

するとアンジュさんは「決まりね」と至極嬉しそうに笑った。



アドリビトム



(あああ、団長になんて説明しよう…)

(…大丈夫?)

((君がここに連れてこなけりゃこんなことになんなかったと思うんだけどなぁ…))



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