翡翠
□最期まで…
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「やぁ、松本副隊長じゃないか。」
「こんにちは、浮竹隊長。」
明るく話しかけてきた浮竹隊長に挨拶をする。
「もう傷は大丈夫なんですか?」
「あぁ。卯ノ花隊長はやっぱりすごいな。」
ニコニコと答える浮竹隊長に笑みを零す。
「じゃあ、どうしてここに?」
快復したならここに居るのはおかしい。
ここは四番隊なのだから……。
「……日番谷隊長のお見舞いに来たんだ。」
躊躇ったように言った浮竹隊長に笑顔を向ける。
「そうだったんですかぁー。元気でした?」
「ははは。ボクが行った時は書類整理をしていたよ。」
「相変わらずですね。」
「明日には退院できると言っていたよ。」
「……そうですか。」
「…………。」
あたしは急に黙り込んだ浮竹隊長を見る。真剣な眼差しに出会ってあたしは戸惑った。
「「浮竹隊長っっ!!」」
突然の大声に私はビクッと肩を震わせた。浮竹隊長も驚いたようにあたしの向こうを見る。
「隊長、お迎えに上がりました!」
「ずるいぞ!自分も隊長をお迎えに上がりました!!」
あたしの横にすごい速さで、ひざまずいた二人組がすかさずまくし立てる。
「清音、仙太郎。わざわざ迎えに来てくれたのか?」
「「もちろんでありますっ!!」」
「自分は隊長が心配で居ても立ってもいられず「隊長っ!自分と一緒に戻りましょう!!」
言葉を遮った清音に仙太郎が文句を言い始める。ヒートアップしてきた論争にこらこら……と浮竹隊長が割って入る。
そんな様子をジッと見ていたあたしに気付いた、浮竹隊長が言った。
「そんな顔をするなら会いに行ってくればいい。日番谷隊長は君のことを心配していたよ。」
そんな顔……とはどんな顔だろう?
羨ましいと思う気持ちが顔に出ていたのだろうか?
隊長があたしのことを心配している……本当に?
不安を隠しきれず浮竹隊長を見ると、優しく微笑んでいた。
あたしは一礼をして隊長の病室へと向かう。
あの時、隊長が重症なのを知っておきながらギンの元へ向かったあたしは、副官失格だ。
それでも、隊長はあたしを必要としてくれている?
病室の前に着くと、室内から声がした。
「松本か……?」
いつもと変わらないその優しさを含んだ声音に、嬉しさが込み上げる。
「……はい。」
「入って来いよ。」
「……はいっ!!」
こんなあたしでも、まだ必要としてくれるなら今度こそは、最期までお傍にいます。
end...
冬獅郎と浮竹隊長って仲良しですよね。何だかんだで気が合うのかも。
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