翡翠

□最期まで…
1ページ/1ページ

「やぁ、松本副隊長じゃないか。」

「こんにちは、浮竹隊長。」

明るく話しかけてきた浮竹隊長に挨拶をする。

「もう傷は大丈夫なんですか?」

「あぁ。卯ノ花隊長はやっぱりすごいな。」

ニコニコと答える浮竹隊長に笑みを零す。

「じゃあ、どうしてここに?」

快復したならここに居るのはおかしい。
ここは四番隊なのだから……。

「……日番谷隊長のお見舞いに来たんだ。」

躊躇ったように言った浮竹隊長に笑顔を向ける。

「そうだったんですかぁー。元気でした?」

「ははは。ボクが行った時は書類整理をしていたよ。」

「相変わらずですね。」

「明日には退院できると言っていたよ。」

「……そうですか。」

「…………。」

あたしは急に黙り込んだ浮竹隊長を見る。真剣な眼差しに出会ってあたしは戸惑った。

「「浮竹隊長っっ!!」」

突然の大声に私はビクッと肩を震わせた。浮竹隊長も驚いたようにあたしの向こうを見る。

「隊長、お迎えに上がりました!」

「ずるいぞ!自分も隊長をお迎えに上がりました!!」

あたしの横にすごい速さで、ひざまずいた二人組がすかさずまくし立てる。

「清音、仙太郎。わざわざ迎えに来てくれたのか?」

「「もちろんでありますっ!!」」

「自分は隊長が心配で居ても立ってもいられず「隊長っ!自分と一緒に戻りましょう!!」

言葉を遮った清音に仙太郎が文句を言い始める。ヒートアップしてきた論争にこらこら……と浮竹隊長が割って入る。
そんな様子をジッと見ていたあたしに気付いた、浮竹隊長が言った。

「そんな顔をするなら会いに行ってくればいい。日番谷隊長は君のことを心配していたよ。」

そんな顔……とはどんな顔だろう?
羨ましいと思う気持ちが顔に出ていたのだろうか?
隊長があたしのことを心配している……本当に?
不安を隠しきれず浮竹隊長を見ると、優しく微笑んでいた。
あたしは一礼をして隊長の病室へと向かう。

あの時、隊長が重症なのを知っておきながらギンの元へ向かったあたしは、副官失格だ。
それでも、隊長はあたしを必要としてくれている?

病室の前に着くと、室内から声がした。

「松本か……?」

いつもと変わらないその優しさを含んだ声音に、嬉しさが込み上げる。

「……はい。」

「入って来いよ。」

「……はいっ!!」
こんなあたしでも、まだ必要としてくれるなら今度こそは、最期までお傍にいます。

end...

冬獅郎と浮竹隊長って仲良しですよね。何だかんだで気が合うのかも。
気軽に感想下さい(^_^)v

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ