□十番隊の日常
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乱菊はいつものようにソファーに寝転がりせんべいを食べていた。
今、執務室に仕事熱心な隊長は居ない。月一で行われる隊首会に行っているからだ。
隊長が心底だるそうに執務室を出て行ったのが約三時間前。総隊長の長い話もさすがに終わる頃だろう。
もうすぐ疲れた顔をして帰って来るであろう自隊の隊長を頭の隅の更に隅で考えながら、現世の雑誌をめくる。

しばらくすると廊下の方が騒がしくなった。きっと隊長が帰って来たのだろう。それにしてもいつもより騒がしい気がする。
そう思っていると荒い足音が近付いて来た。
何事かと扉を見た途端、それがもの凄い勢いで開け放たれた。

「松本っ!!」

「はいぃっ!?」

突然の隊長の怒号に無意識に反応した乱菊は、冬獅郎に向き直る。

「ど、どうしたんですか?」

尋ねた乱菊に恐ろしい視線を向けると冬獅郎は無言で何かをテーブルにたたき付けた。
それを確認した乱菊は納得する。

「こんなことで怒ってるんですかぁ?」

「何が"こんなこと"だ!盗撮されてんだぞ!怒るに決まってんだろ!!」

「やだなぁ、盗撮じゃなくて隠し撮りですって。」

「おんなじじゃねぇか!」

艶やかな笑みを浮かべる乱菊にイライラを募らせた冬獅郎が言葉を返す。

テーブルの上にあるのは瀞霊廷通信。表紙には目立つ字で"激写!!奇跡の一枚〜一般死神では見られない日番谷隊長の姿〜"と書いてある。
乱菊は瀞霊廷通信を一瞥した後、思いついた疑問を口に出す。

「何で隊長がこれを持ってるんです?自分で買ったわけじゃないですよね。」

「隊首会の帰りに檜佐木に会ったんだ。ついさっきできたから十番隊の分を持って帰ってくれって。」

乱菊は内心舌打ちをした。修兵はいつも余計なことばっかするんだからっ。目の前の隊長の存在を忘れて修兵への文句を心の中で言いまくる。

「とにかく今はそんなこと、どうでもいい。何で盗撮なんかしやがった!?」

隊長の声に我にかえり
「だから隠し撮りですって。それに人気のある隊長をみんなに自慢したいっていう可愛い思い故ですよ。」

と答える。
冬獅郎は一瞬イラッとした顔をしたが

「もういい。勝手に言ってろ。」

深い溜息をついて隊首席に座る。

「あー信じてませんね!隊長、ほんっとに人気あるんですからぁ。」

「そーかよ。」

ぞんざいな応えを返す冬獅郎を乱菊は見つめる。

いい加減痺れを切らした冬獅郎が

「何だよ……?」

と声をかけるも応答はない。
心配になってきた冬獅郎は乱菊の前に立つ。

「松本……?」

もう一度声をかけると乱菊は目にも留まらぬ早さでカメラを取り出しシャッターを切る。

カシャッ

沈黙。
乱菊はもうすぐ押し寄せてくるであろう怒号に備えて執務室を飛び出す。

「松本ぉぉぉっ!!!」

「大丈夫です!この写真をばらまいて隊長がどんだけ優しくてカッコイイか広めてきますからっ!!」

「何が大丈夫なんだっ!?てめぇ、戻って来やがれっ!!」

隊長の声を遠くに聞きながら外へ出る。

「さっ、七緒にでも自慢しに行くか。」

うちの優しくてカッコイイ隊長をっ。

end...

ぞんざいな終わり方……。すみません。あるあるネタでやってみました。
気軽に感想下さい(^_^)v

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