夢(ぬら孫)

□まじかよ
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もしかしたら人がいるかもしれないと思ってリビングの様子をうかがうが人の気配はしない。
本当にこの家は自分以外いないのか?


「おじゃましま〜っすと」


中を見るがやはりいない。昨日見たときと変わらない生活感のないモデルルームのような家だ。
テレビを付けてテレビ前のソファに豪快に腰を下ろす。硬くもなく、柔らかすぎもせず。丁度いい座り心地のソファだ。
ベッドといい、ソファといい、なんかいいもん使ってんな〜。

はーっと溜息をついてぼんやりとテレビを眺めてみると視界の端になにやら赤く点滅するものが。近づいてよく見てみるとそれは家の固定電話だった。


「着信有り」


履歴ボタンを押してみるとみたことのない電話番号からだった。
時間は夜の10時ごろ。


「もしかして私が交番からかけた電話だったり。…そりゃないか!」


適当に笑い飛ばしてまたソファに座る。しばらくぼんやりしているとお腹が鳴った。


「昨日の昼からなんも食べてないじゃないか…」


キッチンをのぞいてみる。
見た感じ食べ物も何も置いていなくてさらには料理器具も置いていない。ほんとなんなんだこの家は。
まずは冷蔵庫を開けてみようと思い開けてみるとそこには卵・牛乳・バターなどかなりの数の食料品が入っていた。
なんか自分の家よりもかなり充実してるじゃないか…ちくしょう。

野菜庫を開けてみるとやはりそこには色々な種類の野菜が入っていた。この量はそこらの一般家庭の野菜の量を軽く超えていると思う。うん。多いよ、自分一人でこの量を食べるのは無理だよ。絶対腐らすから

今度は近くの戸棚を開けてみる。そこには食パンやお菓子などが入っていた。
さらに他の戸棚や引き戸などを開けてみると料理器具や調味料、食器類がきちんと綺麗に取りそろえられていた。


凄いなこの家モデルルームかと思いきやちゃんと見えないだけで色々あるんだ。


「じゃーなんかたーべよっと」


さっき見つけた食パン(未開封のやつ)にバター(未開封)を付けてトースターで焼く
あ、トースターもさっき棚のなかから見つけて出したんだよ!

牛乳にパンと朝ごはんがそろったところで家の電話がなった。
なんだよ。こっちは今から朝ごはんをのんびり食べようと思ってたのにさぁ


「はいもしもし?」


いつもより声のトーンを落とした状態で電話にでると声の主はどうやら浮世絵中学校の教師らしい。


「田中さんのお宅でしょうか?」
「はいそうですけど…え?」


どうやら私は今日から浮世絵中学校に転校する予定で今日は初めての登校日だったらしい。


「すみません!寝坊しました今から行きます!」


慌てて電話を切って朝ごはんを噛まずに飲み込む。
とりあえず寝室に行ってそれらしい制服がないかを探してみると…


「あんのかよ!!」


しっかりとそこには中学校のセーラー服がハンガーにつるされてあった。しかも下の方には教科書がぎっしりとつまったエナメルバッグまで…


「あーもう突っ込みはなしだ!兎に角言ってみないと!」


今まで来ていた高校の制服を乱暴に脱いでセーラー服に腕を通してみるとそれは自分の体のサイズにぴったりと合っていた。
大丈夫。つっこまないつっこまない。なんで体のサイズにちょうど合っているんだとか制服があるのかかね!!

クローゼットの中に隠されていた全面鏡で立ち姿をチェック。
よし前髪も後ろ髪もはねてないし顔色も良好!教科書とか文房具とかはなんでか鞄に入ってるし重いけど今日何の教科をやるか分からないから持っていくしかないよね!
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