頂を目指す二ノ姫

□不敵に笑う生意気なルーキー
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「データでくるならその上をいくまでだね」


ラケットを乾に突きつけ、リョーマは高らかに宣言した。乾は悔しそうに、しかしどこか楽しそうにリョーマを見た。

「(…まったく、生意気なルーキーだ)」

そしてそのままリョーマは乾に勝利した。

「ゲームセットウォンバイ越前 7−5!!」
『(レギュラー二人に勝ったか。リョーマ。これからね)』

桜は優しい目でリョーマを見ていた。





そして翌日―
リョーマの全勝が決定。

『お疲れ様。おめでとうリョーマ』
「どうも。ねぇ、今度試合してよ」
『そうねぇ。考えておくわ』
「………」

なお、Dブロックもう一つの試合では、誰もが予想しなかった大波乱が起きていた。海堂があの乾を破っていた。

「テーピング。ありがとうございました」
『いいえ。おめでとう薫』
「……ありがとうございます」

桜は通り過ぎる海堂の背中を見つめる乾に、大石と共に近づいた。

「乾」
『お疲れ様、貞治』
「あいつら、データ以上のテニスしやがって」

息を吐いた乾は自らを破った後輩たちに笑った。悔しそうだが、先を見据えていたその目にはこれからを思う温かさがあった。

「青学もまだまだ強くなるな」
「ああ」
『そうね』

―こうしてランキング戦は幕をとじ、ここに八人のレギュラーが決定した。

手塚国光(3年)
大石秀一郎(3年)
桃城武(2年)
菊丸英二(3年)
不二周助(3年)
河村隆(3年)
越前リョーマ(1年)
海堂薫(2年)

「礼!!」
「っしたぁ!!」

越前リョーマは1年生ながら全国へむけて、都大会への出場権を得た。それを眩しそうに見た桜。

『さて、世界が動くわね…』

空を見上げて呟いた声は誰に聞かれることもなく風に溶けて消えて行った。





おまけ

『えっと、小坂田朋香ちゃんね、よろしく。3年の神崎桜よ』
「は、はい!!よろしくお願いします桜先輩!!」

片付けを終えた桜に桜乃と朋香は近づいた。朋香は桜をじっと見つめると桜乃に詰め寄った。

「ちょっと、すっごい綺麗な人じゃない!!聞いてないわよ桜乃!!」
「ええ〜〜〜っ」
「決めたわ!私桜先輩のファンクラブ作るわ!!いや、まって。桜先輩くらいならもうあるって可能性もあるわよね」
「と、朋ちゃん?」
『あの、朋香ちゃんどうしたの?』
「そーよ。きっとあるに決まってるわ!ってこーしちゃいられない。善は急げよ!じゃあ桜先輩!今度差し入れ持ってきます!!桜乃行くわよ〜!!!」

嵐のように去って行った朋香に、桜は唖然とその後ろ姿を目で追っていた。

『なんていうか、パワフルな女の子ね』
「す、すいません桜先輩!!失礼しますっ!!待ってよ朋ちゃーん!!」

朋香を急いで追いかけて行った桜乃。桜は元気な1年生にしみじみと思った。

『(若いっていいわ)』

年寄りくさい台詞を心の中で呟いて、桜は部室へと踵を返した。



→atogaki
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