頂を目指す二ノ姫
□地区予選開始!
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しかしその後も相変わらずコンビネーションの悪さからリョーマと桃城は玉林に手も足も出ない状況だった。
「あっ!?」
「また陣形を崩された!!」
縦一列に並んだ二人をあざ笑うかのように逆コートを突く玉林。もうお決まりのパターンになっていた。
「「しゃ――っ!!!」」
「とうとう追いつかれたっ」
「「((にゃろう))」」
思うようにプレーが出来ない煩わしさにリョーマと桃城はイラついていた。それが手に取るように分かる桜はこめかみに指を這わせた。頭が痛い。
『(ああ。イライラしてるわね。当然か)やっぱりやめておけばよかった』
「桃城だけならともかく、越前は明らかにシングルス向きだ。お前なら分かっていただろう」
『分かってたわよもちろん。ただその…熱意に負けたっていうか……』
「……」
眉間のしわが濃くなる手塚に何も言うことがなくなった桜は肩を落とす。試合はやはり玉林がリードし、とうとう1ゲーム奪われてしまった。
「最初のサービスゲームをキープしたぞ!!」
「《チェンジコート》」
親指を立てて歓声に応える玉林とは対照的に、リョーマと桃城は浮かない顔をして戻って来た。
「おやおや。なんてザマだい!!」
「どうもしっくりいかないっス。頭ではわかってても体が反応して」
『見ててハラハラするんだけど…ちゃんと周りを見なさいって言ったでしょ?』
「外の敵より内の敵っス。タイミング狂わされて」「なんだと!?言ってくれるじゃねぇか。お前こそ出しゃばりすぎだっつーの!」
「やめんか!」
『あなたたち、やる気あるの?』
言い合いを始めた二人にとうとう桜の必殺技が発動された。二人は直立不動となり冷や汗を流す。その後ろを玉林ペアが通った。
「よう。もう仲間割れか」
「最強のコーチとか言うのも大したことねぇな」
「ほんと、ザマ――ねぇなぁ!!」
「フン。バカな連中だ。あの程度の挑発にのるとでも…」
『スミレちゃん』
「ん?」
離れて行く玉林を見送ったスミレの肩を桜が叩いた。桜が指差す先には鼻息を荒くしたリョーマと桃城の姿があった。
「(のるんかい!?)」
桜は手を額に当てて俯いた。もう人目をはばかることはしない。そんな桜の様子にも気付かないほどリョーマと桃城は憤慨していた。
「(あいつら!!桜先輩の事を侮辱しやがって〜!!)」
「(絶対叩き潰す!!!)」
「《ゲームカウント1‐0!!玉林リード!!》」
「人選間違えたかの。手塚、桜よ」
「はい」
『……ええ』
沈みがちな桜の頭に手塚の手がのった。大きな手のひらの感触と温かさになんとも言えない感情が沸き上がってくる。
しかし桜はそれには気付かないふりをした。落ち着いた手塚の声が上から降ってくる。
「あまり落ち込むな」
『……そう言われても…………』
手塚の言葉は優しいが、玉林サイドの声援は桜の落ち込みに拍車をかける。
「よし。一気に青学をたたいちまえー!!」
「(桜も相当落ち込んでるな)まだまだ始まったばかりだ!!がんばれ桃・越前ー!!」
大石はそんな桜の気分を晴らすように声援を送っていた。
「くらえっ!!」
「でたあ。桃の弾丸サーブ!!」
桃城の代名詞ともいえるものになっていた強烈なサーブ。しかしそれはコートに入ることはなく、代わりにリョーマの頭に激突した。
「(クロス!!抜ける!!)」
今度はリョーマが相手の隙を見つけ返球するが、それは前衛にいてリョーマが打ったコースに動いた桃城の後頭部に直撃した。
『あ〜あ。痛そう…』
「自滅クラッシュ2ー!!ラッキー大もうけ!!」
「浮き足だってるね」
唖然としている大石の隣では菊丸が面白そうに見ていた。
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