頂を目指す二ノ姫
□リョーマのシングルスデビュー
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「《地区予選準優勝 不動峰中学校。そして…
優勝!!青春学園中等部ー!!》」
激戦を繰り広げた青学と不動峰は各々言葉を交わした。そして試合に出なかった二人の部長も。
「オレたちは二度やられるつもりはない。都大会で会おう」
「ああ」
手塚と橘は堅く手を握り合った。
「いくぞ!」
第1シードの青学と無名校の不動峰が都大会への2ワクに決定。こうして地区予選は幕を閉じた。
―――――
―――
――神奈川県大会地区予選決勝
「あらら、もう終わり?」
「《ゲームセットウォンバイ立海大附属中 切原6−0!!》」
「《地区予選優勝立海大附属中!!》」
いましがたの立海の決勝を観戦していた井上と芝は感嘆の声を上げた。
「なんて強さだ。圧倒的だなここは!」
「決勝戦3試合あわせて1時間かかってないですよ…」
「おっとお月刊プロテニスさん!何か新情報あります?例えば東京の手塚さんとか、もしくは桜さんとか!」
井上と芝の存在に気付いた切原赤也がそう問いかけた。その目はきらきらと好奇心に染まっていて、そのことに気付いて井上も楽しそうに笑った。
「あいかわらず手塚君は地区予選には出なかったみたいだね!」
「なんだ温存ってやつっスか!?」
珍しく真剣な表情で顎に手を当てて切原は頷いた。
「しかし決勝。あの青学がケガ人続出で3−1と苦戦したらしい」
「へぇ…」
と、ここで近づく人影の低い声が響いた。
「いずれにせよ青学たるんどる!!」
いかめしい顔のその人は立海大テニス部副部長、真田弦一郎だ。その後ろには柳蓮二が立っている。真田ははっきりそう言うと踵を返した。
「…手塚と桜にそう伝えといて下さいよ、井上さん。いくぞ赤也…」
帰っていく立海の後ろ姿を井上は何とも言えない感情で見つめた。
「(立海大附属中真田君に柳君…王者の貫録だな。それから…
この大会最短試合の記録を一気に塗り替えた2年生エース切原赤也君…
強いぞこのチームは!!)」
―――――
―――
その頃、帰り支度を済ませた青学メンバーは談笑しながら歩いていた。
「そういや越前は!?」
『リョーマならスミレちゃんと桜乃ちゃん…お孫さんと一緒に病院よ』
「ププ。そっか」
リョーマは試合の時の瞼の傷を診せに先に帰っていた。そんな話をしていた桜達に河村が声をかけた。
「なあみんな。ちょっとみんなに寄ってほしいトコがあるんだけど…」
「「!?」」
いきなりの河村の申し出に面食らったレギュラー。桜は珍しいと河村に問いかけた。
『どうしたのタカさん?』
「うん。ちょっとね」
そう言葉を濁して笑う河村に首を傾げつつも彼について行くことになった。
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