夜空を纏う四ノ姫

□ディーノ再び
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『ねえリボーン
今まで忘れてたんだけど、桃巨会ってこの町に実在するヤクザじゃなかったかしら?』

「「はぁっ!!?」」

「そーだぞ」


何て事は無い軽い返事を返したリボーンに、桜は頭が痛くなった
こめかみのあたりを押さえる


『リボーン、あなたね……』


この家庭教師は本当にムチャをムチャと思わない
桜も人のことは言えないが


「なんだって――!!!
じゃああの二人本当にヤクザにのりこんでっちゃったの――――――!!?」

「ああ、そうだぞ」

「何考えてんだリボーン!!」


ディーノはリボーンに食ってかかった
さすがに本物のヤクザの群れに中学生を突っ込ませることは非常識だとは理解しているようだ


「相手は不良やチンピラとはわけがちがうんだぞ!
ヒヨっ子のあいつらが歯が立つ相手じゃねーだろ!!」

『まあ普通に考えたらそうよね』


桜の真剣な表情は次第に緩んでいるが、そのことにディーノとツナは気付かない


「ったくなんでおまえは昔っからそー極端なことするんだ!!
シャレになってねーぞ!」

「本当だよ!
獄寺君と山本が大変な目にあったらどーするつもりだよ!!」

『(兄弟弟子って似るのかしら。反応そっくり)』


桜は観察するようにして二人を見比べた
最早獄寺と山本の安否は忘れ去っている
一方リボーンも二人の説教じみた言葉にも反応を示さない
無言のリボーンにディーノとツナは声を合わせた


「「おいリボーン、聞いてんのか!!」」


しかしリボーンは鼻ちょうちんを膨らませて寝ていた
つまり二人の言葉などこれっぽっちも聞いていなかったのだ
ツナとディーノは自由奔放すぎるリボーンに脱力する
似たもの同士な兄弟弟子を一瞥した桜は息をついて言った
が、その声には諦めのほかに、どこか愉しげな響きが含まれている


『ねぇ。くどくどお説教している時間はないんじゃない?
早く行きましょう』

「………しゃーねー。行くぞツナ
今度はお前がファミリーのために一肌脱いでやれ」

「え!?」


ツナは先程から青かった顔を一段と悪くさせた


「心配ねーって。オレがついてっから」

「いや!でもっ!!…さ、桜!!助けて!!」

『さぁツナ!張り切って助けに行きましょ!!』

「なんで桜の方がそんなに張り切ってんの――!!」


桜はツナににっこりと笑顔を向けた


『だってリボーンのことはしょうがないし。隼人と武はもう行っちゃってるしね
それにこれで隼人と武の今のレベルが分かるし、いい修行になると思わない?』

「ガーン」

「……こういう奴だよ桜は昔から
リボーンと同じだしなにより愉しいこと好きだしな。変わってねーな………」

「(うそー!!)」


ツナとディーノは桜の多面性をまざまざと見せつけられてもう何も言えなかった























桃巨会のビルにやって来た3人は一つの部屋の前で止まった
山本のカバンもあり十中八九2人はこの中にいるようだ


「よし、行くぞ」


ディーノがドアを開けると、そこには信じられない光景が広がっていた


「吐けよコラ!!」

「居場所教えてくんねーか」


叩きのめしたらしいヤクザにツナの居場所を聞く無傷な2人にツナは目を点にした


『あらあら。なかなかね』

「(ヤクザ倒してるー!!!)」

「10代目ご無事で!!」

「元気そーじゃねーか!!」

「たいしたもんだぜ」


放心しているツナに駆け寄る獄寺と山本に桜とディーノは素直に感心した
まさかヤクザ相手にここまで出来るとは思っていなかったのである



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