夜空を纏う四ノ姫

□ディーノ再び
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カメ騒動から一夜明け、桜はツナとともに家を出た。昨日の騒動のおかげで遅刻気味である
玄関のドアを開けた瞬間、昨日と同じように家の前の道路を塞いでいる黒スーツ集団が目に飛び込んできてツナは身を震わせた


「(また家の前物騒だー!!!)」

『おはよう、みんな』


桜は全く動じず朗らかに挨拶をした
それに気づいた彼らも次々とお辞儀をする


「ボンジョルノ。ボンゴレ10代目。桜嬢」

「あっ…どうも…ディーノさんでしたら…」


どもるツナの後ろでドアが開き、寝起きのディーノが顔を出した


「なんだおまえら。むかえなんて頼んでねーぞ」

「誰もむかえになんてきてねーよボス
散歩してブラついてたらここについただけだぜ」

「オレもだ」

「オレも」

「駅前のホテルからかよ…」

『(いいファミリーよね)』


部下の思いやりにディーノは照れくさそうに笑った
桜はそんなディーノ達を柔らかい表情で見つめている
ツナもディーノを見て笑った


「(ディーノさん。部下に愛されてるんだな―――)」

「おはよーございます10代目!!」

「(獄寺君!!)」

『あら隼人。おはよう』

「おう桜。テメー10代目のお宅に泊まったのか」

『ええ。それで隼人はどうしたの?』


桜がツナの家に泊まったことに若干羨ましそうにした獄寺
しかし桜に訊かれるとツナに向き直り照れながら言った


「早起きしたのでブラブラしてたらここについちゃいました」

「(同じこと言ってるー!!!)」

『(隼人もツナが好きだからね)』

「それより何なんスか。この連中は?」


警戒心をむき出しにしてディーノの部下を睨みつける獄寺の背後からディーノが声をかけた


「よぉ。悪童スモーキン・ボム。会うのは初めてだな」

「!そのタトゥー…跳ね馬のディーノ…!!」

『そういえば初対面だったわね』


桜はディーノに対して険しい表情をしている獄寺にそう呟いた
するとさらにもう一人新たな声が割って入って来た


「ツナと獄寺、それに桜じゃねーか」


その声がした瞬間、獄寺の顔が凶悪になり桜は思わず吹き出した


『(ほんと武のことは嫌いねぇ)』

「何やってんだおめーら。遅刻するぜ!!」

「山本!!」

『おはよう武』


朝から爽やかな笑顔を浮かべてやって来た山本は、獄寺とツナの肩に自分の腕をのせて歩き出した
ディーノに軽く挨拶をして桜もしっかり促す
先を行く山本達に置いて行かれないようにとディーノに手を振った


『じゃあ学校行ってくるわね』

「おう。気をつけて行けよ」


にっこり笑った桜は、山本から離れようとする獄寺の隣に立って彼を笑っていた
その後ろ姿を見送るディーノ


「あれがツナの、桜が入ることになるファミリーか…てんで子供だな」

「気になるみてーだな」

「そりゃーな」


いつの間にか門袖の上に座っていたリボーンと普通に会話するディーノは、特に桜の後ろ姿を愛おしそうに見つめ続ける


「昔のオレにそっくりなかわいい弟分と、ボンゴレの姫でオレの大事な桜のファミリーだぜ」

「どーだ。使えそーか?」

「どーかな」


ディーノにとっても大切な桜のファミリーだ。妥協は許されない
彼女には最高のファミリーとともにあってほしい


「いくら桜が目をかけてるとはいえ、ファミリーにとって最も重要なのは信頼だ
それが見えねー限りオレは認めねえよ
信頼のないファミリーに桜を預けるわけにはいかねぇ」

「相変わらず桜にゾッコンだな
まっ、桜はオレのだけどな」

「(リボーンが相手とか……キツくないか?)」


ディーノはハハッと笑ってはいるが冷や汗をかいていた
この恋のライバルは一筋縄どころか一生勝てないのではないだろうかという気にさせられる
だからといって引き下がれるわけはないのだが
リボーンはそんなディーノの様子を無視して彼を見て言った


「だったらいっちょ試してみるか?」

「…試す?」




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