夜空を纏う四ノ姫

□お正月
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『はい、出来た!』

「ありがとう桜ちゃん!!」

「はひっ!!すごいです!上手ですね桜ちゃん!」


普段静かな桜の自宅から黄色い声が溢れていた
声の主である京子とハルは揃って可愛らしい着物に嬉しそうにしていた


『うん。二人とも可愛いわよ』

「桜ちゃんが着物の着つけが出来るなんて知らなかった。すごいね!」

「いざ着物を着ようと思ったら難しくて困ってたんです」

『慣れないうちはね。さて、私も着ようかな』


そう言って桜は彼女にしては珍しい白地に色とりどりの花が咲いた華やかな着物を手に取った


「わぁ!!とってもキレイ!!!」

「ビューティフルです!!桜ちゃんにとっても似合ってます!!」

『ありがとう。まだ時間がかかるから了平連れて先に行ってていいわよ
後で行くってツナに伝えておいて』

「わかりました。ツナさんに言っておきます!」

「じゃあ先に行ってるね。またねルーちゃん!」


机の上に乗ってジッと着つけの様子を窺っていたルーに手を振って京子とハルは部屋から出て行った
桜はそれを見送った後ルーの頭を撫でて嬉しそうに呟いた


『私は大体着物は黒っぽいものしか着てなかったから新鮮だわ
ビアンキに選んでもらって正解だったわね』


そう言えば、と桜は部屋の中を見渡した
京子とハルと一緒に来たはずの彼女の姿が見えない


『ま、あとで来るわよね。ルーも行く?』


ルーは返事をするように桜に頬ずりしてきた
桜はニッコリ笑って着物の袖に腕を通した





















防寒対策のためマフラーを巻いたルーを肩に乗せ、桜はツナの家に向かっていた
腰まである髪は左側に若干寄せてアップにまとめており、白い花を飾っている
首の後ろが少し寒いがいつもとは違う格好に浮かれ気味だ
そんな桜に空気を震わす怒鳴り声が聞こえてきた





「ボンゴレだ――っ!!!」





『??』


それは獄寺のもので桜は内心首を傾げた
それからほどなくしてツナの家の前に個性豊かな面々の顔触れが見えてきた


『なんだか楽しそうね』

「あっ桜!!」

「よう桜。着物似合ってるぜ」

『ありがとうディーノ』

「来た来た桜ちゃん!!結構早かったね」

「そうですね。私達がここに来てからそんなに時間経ってませんよ」

『自分のは本当に慣れてるからササッと終わったのよ』


そう言って笑う桜に一同顔を赤らめた


『あけましておめでとうみんな
それでリボーン。私達をここに集めたのはボンゴレ式ファミリー対抗正月合戦のため?』

「ああ、そうだぞ。着物似合ってるな」

『ありがとう。リボーンも中々かっこいいの着てるわね
で、京子やハルや了平がいるのはボンゴレの人数のためかしら』

「……そうだぞ」


リボーンを軽く流して話を進めて行く桜に了平が近づいた


「おぉ神崎!!おまえもモンゴルファミリーなのか?」

『いや、ボンゴレね』

「そんなことより極限にボクシング部に入らんか!!」

『いやよ』

「(Σいきなりボクシング部の勧誘になったーっ!!
まだ諦めてなかったの!?っていうか桜即答!!)」

『あ、そうそう。私も了平のこと名前で呼んでるし、桜でいいわよ』

「ん?そうだな。京子も世話になってるし、オレも名前で呼ばせてもらおう
ボクシング部の部員だしな」

『…なに入部させてるの。入らないって言ってるでしょ……』

「(桜が毎回疲れるわけだ)」


ツナは終わらないやりとりを続ける桜に内心同情した



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