頂を目指す二ノ姫U

□都大会2週間前
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「桜ちゃん!!」

『あら?どうしたの?栞ちゃん』


急いで走って来た栞は頬を紅潮させて桜の肩に手を置いた


「ちょっと聞いて!!
オレンジ色の髪した他校の男子生徒が来てるんだけど、なんかいやらしい目でこっち見てくるのよ!!
だから桜ちゃんも気をつけてって言いに来たの!!!」


興奮したようにそう言う栞に桜は笑顔で頷いた


『そうなの。わざわざありがとう
このあとも練習でしょ?頑張ってね』

「うんっ!じゃあね!!」

『(オレンジ色の髪で女の子を見ていた…か
もしかして千石君……かしらね。山吹も動きだしたか)』


元気いっぱいに駆けて行った彼女を見送って桜はそのまま部室に入って行った


『(そういえば、あいつも髪オレンジよね
ここまで違うものなのね…)





!!』





目を伏せた桜はハッとしてポケットに手を突っ込んだ
取りだしたのは義魂丸
桜はそれを勢いよく呑みこんだ


『なんでこう沈んでる時に来るのかしらね……梢、後よろしくね』

「はい、桜様。お気をつけて」


頭を下げた梢に今度は見送られて桜は部室を飛び出した










その姿を見ていた者がいたことを彼女は知らない






















ストリートテニス場

買い物帰りの桃城はひょんなことから不動峰の神尾とダブルスを組んで試合をすることになった
対戦相手は端正な顔立ちの偉そうな態度の少年と、彼につき従う寡黙な大男
尊大な態度の彼はラケットを肩にかけ余裕の表情だ


「おめーらにサーブやるよ。かったりーから一球勝負な
よーし。後は任せた樺地!」

「ウス…」


樺地と呼ばれた大男にそう言って彼は腰を下ろした
それを見た桃城と神尾は真剣な表情になった


「(マジでやってやるか…)」

「(ああ)」


神尾のサーブで試合は始まった
ボールは後衛の樺地へと向かう
樺地は顔色を全く変えずに強烈なショットを返してきた


「あ――っ速い!いきなりサイド抜かれた!?」

「ナイス樺地…なーんだもう決まっちまったのか!」


しかしここで神尾が黙ってはいない
凄まじいスピードで桃城が取れなかったボールに追いつき打ち返した


「リズムを上げるぜ♪」

「すげぇ。あの距離を追いついた!?」


神尾は前衛の尊大な彼へと狙いを定めてボールを打った
ボールは彼の顔の横ギリギリを抜けて行くが、彼は全く動かずにただ口を開くだけだ


「とれ樺地!」

「ウス」

「なっあれを後衛が取るなんて…」

「うろたえるな神尾。チャンスボールだ!」


桃城は樺地が打ち返してきたボールを得意の技で返そうとネットに詰めた



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