頂を目指す二ノ姫U

□都大会2週間前
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「飛んだーっ!!」





「おおおっ」





桃城のボールが横を奔り抜けるのを少年は冷静に分析していた


「(ダンクスマッシュか…………
こいつ、一丁前にこの俺を挑発してやがる)
いけ樺地…」

「ウス…」

「!?」


樺地は彼の言葉を聞き、両手でラケットを掴んで着地した桃城に強烈な一打を喰らわせた





「ああ モモシロ君!?」





「ぐはっ…」


杏の声が響く中、桃城が悲痛な声を上げた
少年も当たり前という表情で目を瞑っていたが、


「何っ!?」

「(こいつ…)」

「すごい。執念で返してたっ!!」


ボールは緩やかに弧を描いてネットを越えて行った
すかさず樺地がネットに詰めるが


「やめろ。もういい樺地…」


少年が静かに制止し、樺地は忠実にピタリと止まった


「今日は負けておいてやるよ
キサマ名前は?」

「青学2年 桃城武ヨロシク!
そういうアンタは?」


咳き込みながら名乗った桃城に少年は一瞬驚きの表情になった


「(……成る程…アイツの……どおりで…………)」


しかしすぐに不敵の笑みを浮かべて口を開いた





「氷帝学園3年 跡部景吾」





「待てよっ不動峰中2年 神尾だーっ!!」

「てめえにゃ聞いてねぇだろ」


不遜に言い放ち、跡部は樺地を引き連れてストリートテニス場を後にした























『相変わらずね…』


一部始終を上空で見ていた死神姿の桜は腰に差した鞘を無意識に撫でた
虚を倒しに来てみれば何故か桃城と跡部達が試合をしていて、つい見入っていた
と言っても跡部はボールに触りもしていないのだが


『さっきの虚はここに引き寄せられていたのね。そろそろ危ないな』


険しい表情の桜は言い争う桃城と神尾を眼下に見下ろし、すっと跡部の後ろ姿を目で追いかけた


『……なんにしても、桃は練習量増やしましょうかね』


意地悪く笑って桜は部室へと瞬歩で戻って行った










「……………」


しかし、やはり気付かなかった
その姿を見ていた者がいたことを……



→atogaki
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