頂を目指す二ノ姫U

□白熱!半面VS全面の5ラリー対決!
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「ププッ海堂のヤツ河村先輩に押されやがった!」

「グ――――ッド!!!」

「ぐぐっ……」


悔しがる海堂に無情にも乾がコップを差し出した
逆光眼鏡が不気味さを醸し出している
桜はそっちを見ないようにして声を張り上げた
恐すぎる…


『次の対決は桃城VS大石!!』

「どもお手やわらかに」

「ああ」





「くわぁっ!!」





その瞬間コートの外へ奇声を発しながら疾走する海堂の姿が飛び込んできた
普段の彼らしくない行動に乾汁の破壊力を思い知らされる
乾汁が苦手な桜は頭を抱えてある意味安堵のため息を零した


『(…私、選手じゃなくて良かった……)』

「…………ま」

「負けられねぇ…」


始まった緊迫感あふれるラリーは桃城優勢だった


「(くっ桃め。いつの間にこんな重い打球を…)く!?」


大石がパワーに押されて打ち上げてしまったボールを追って走り込む桃城


「今日は"オモリつけてない"から…跳ばしてもらいますよ!」


跳び上がった桃城の脳裏には、昨日出会った氷帝学園の跡部と樺地の後ろ姿が浮かんでいた


「都大会か…楽しみだ」





「きたぁダンクスマッシュ!!」





これを大石は取るが、


「わぁ弾かれたっ!!」

『ダンクスマッシュの威力が更に増してるわね
秀でも返せないか
(…彼のおかげ…ね)』


桜も桃城と跡部達の試合の様子を思い出してうっすらと目を細めた


『…次。手塚VS不二!!』


と声を張り上げた瞬間第二の犠牲者





ぬ あ あ あ …っ





『私は何も聞いてない……』


悲痛な悲鳴に桜は耳を塞いで手塚と不二のいるコートを凝視していた
そしてわずか数秒で手塚はボールをコートに叩きつけてしまった


「おおおさすが部長!!」

「不二先輩相手にもうきめちゃったよ!!」

『さすがねぇ』


桜は大石のことはコロッと忘れて純粋に感嘆した
いつ見ても手塚はスキのないプレーだ
不二は面白そうに笑って手塚を見た


「いまちょっと本気だったね。桜が見てたから?

「……当然だ」

『やっぱり国光でもあれは飲みたくないわよね』

「…………」


不二の呟きは聞こえなかったらしい桜は「私も絶対飲みたくない」と素晴らしい笑顔で言った
それに桃城は喉まで出かかった言葉を飲み込んだ


「(見てみたかったとか…言ったらマズイ)」

「ずいぶん諦め早かったじゃん不二」

「ちょっとだけ飲んでみたかったし」


と言った不二は乾からコップを受け取り豪快に飲み干した
そして信じられない言葉を口にした


「何だ。けっこうウマいよこれ。お薦め」

「う、うそつけ〜」

『……やっぱり周助の舌はおかしいわ』


菊丸と桜は揃って顔を引き攣らせた
先程の海堂と大石の末路を見ていた人間の言うことではない
というか、あの2人が叫び出すほどの飲み物を他人に薦めるなと桜は言いたくなった
不二が薦めるものは極力貰わないようにしようと心に誓う

そして次がラスト





「絶―――っ対飲まないからな!」





「遠慮しないで。うまそうっスよ菊丸先輩」





「越前VS菊丸先輩だー!!」



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