頂を目指す二ノ姫U

□都大会前日の嵐
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都大会前日 伴野総合病院

桜は手塚の付き添いで大石と共に診察室にいた


『どうですか?先生』


桜は手塚の腕を丹念に見ている医師に訊いた


「2週間前にヒヤッとさせられたが…
どうやら影響はなかったようだ
テニスは特にひじを痛めやすい
『テニスひじ』で泣く選手が後をたたないからね」

『そうですね』


桜は大きく頷いた
特に手塚のドロップショットは関節に負担がかかりやすい
その為腕を壊しやすいのだ


「章高おじさん。まだ治療かかりそう?
青学にとって手塚抜きの全国制覇はありえないんだから…」

『秀、ちょっと落ち着いて』

「そうだ秀一郎。続きを聞きなさい」


大石をたしなめて章高おじさんは一拍置いて口を開いた


「よくがんばったね、おめでとう。完治したよ
ただしまだ長時間のプレーは禁物だからね」


それを聞いて大石はバッと手塚を振り向いた


「やったな手塚!!さんざんチームを心配させた分がんばってもらうぞ!!」

『フフ。ほんとね』


喜ぶ大石と同じように桜も嬉しそうに笑顔を浮かべて肩の力を抜いた
実はかなり心配していたのだ
章高おじさんはそんな桜に視線を向けた


「神崎さんもよく見てあげてくれ。無理をしないようにね
がんばれよ青学テニス部!」

『はい』

「ありがとうございます先生」


そう言って3人は診察室から退室した










『それにしてもよかったわ。都大会に間に合ったわね』

「ああ。心配をかけた」

「全くだ。悪化していたらとこっちは気が気じゃなかったぞ」


大石はフゥ、と息を吐いて穏やかな表情をした


「なんにせよ、これで青学完全始動だ」

「ああ」

『頑張りましょうね、国光、秀』


頷く手塚と大石に桜はニッコリと笑った


「そうだ。これからどうする?」


病院の出口に差し掛かり大石が言った
桜はあっと声を上げて手塚と大石を見る


『ごめん。私これから用事があるの。だからここで』

「分かった。じゃあ明日な」

『ええ』

「気をつけて行け。明日迎えに行く」

『でも明日は準備があるから私早いわよ?』


地区予選は乾が準備をしてくれたが、今回はマネージャーとして桜が準備を行う
荷物も多くなり会場に着く時間も他の部員より早い
しかし手塚は分かっている、と頷いた


「構わない。後で電話してくれ」

『……ん。わかったわ。ありがとう』


幼馴染の気遣いが分かって桜は破顔した
そのまま桜は手塚と大石と別れて病院を後にした



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